■第11回 活動記録
Ⅰ実施日:2015年7月19日(日)
Ⅱ実施場所
セッション実施場所:千葉市生涯学習センター
Ⅲ活動内容
顔合わせ
セッション
Ⅳ参加者 計7名
乙ハヂメ、こてつ、美緒、オガワン、ephe、オキ(見学者)、フジキ(見学者)
Ⅴ活動内容詳細
①顔合わせ
メンバー、見学者との自己紹介
②セッション1卓実施。詳細は下記の通り。
『深淵 第二版』(GM:乙ハヂメ)
【実施シナリオについて】
■実施シナリオ
『落雷』
■予告
苛烈な運命に打ちひしがれる魂が、禁断の力を求めて集う。
そして、それは落雷とともに大地に落ちた。
――力こそ全て。我は剣を求める。
■シナリオ概要
剣の侯爵ロンゲイン。戦い続ける者。魔族の中でも屈指の剣士であり、神々を戦場で苦しめた存在。
神征紀の後、ロンゲインは地上を追放され、天空の雷雲の中に封じられている。彼は地上に戻りたいと思っているが、脱出を試みるたびに雷鳴が轟き警告を発するため、妖精騎士と戦い、殺されるという果てなき苦しみを繰り返している。
彼は己の封印を解くために、何人かの不運な人間たちに囁きかける。「己の封印を解けば、願いを叶える」と……
白昼夢、直感、そして魔族の誘いによってとある山中に集まった定命の者たち。
雨が打ち付け、雷鳴が轟くその中で、一本の剣が雷と共に地上にその姿を現す。
魔剣ワルラーム、別名「蠱惑の瞳」。ロンゲインの作り出した魔剣にして、かつて風のオルトが用いて巨人の七王国を滅ぼしたことから「七城落とし」とも呼ばれる強力な剣。
魔剣は誘う。
――我を手にせよ。そして封印を開放せよ。
――さすれば汝が願いは叶えられん。
斯くして人の子らは、己が望みのために、一振りの魔剣が起こす大いなる運命の本流へと巻き込まれてゆく……
【参加PC紹介、およびそれぞれへの所感】
Ⅰ:ファントム(PL:オガワン)/テンプレート:吟遊詩人 24歳 男性
運命
[03]追放…かつて罪を犯し、故郷を追放された
[20]恐怖症…非常に恐れるものがある
→追加[38]呪い…魔族に呪われている
セッション終了時:生存
己の詩作のために、過度な刺激を求める吟遊詩人。
刺激を追い求めるあまりに過去故郷にて犯罪行為にまで手を出してしまい、その結果故郷を追放される。
望郷の念が捨てきれず一度舞い戻ったことがあるが、その際親に厳しく鎖で打ち据えられた事が原因で鎖に対して過度な恐怖症を持っている。
ある日、輝く空に浮かぶ巨大な剣のイメージを白昼夢に見たことから、これを詩作への天啓と捉えそれを求めて行動を始める。
「魔剣」それ自体ではなく、魔剣を求める人間たちの様子を叙事詩にすることを目的としている。それ故、より状況を劇的にすべく他人を唆す扇動家。不幸にもその振る舞いを星の侯爵サイロリアに見初められ、道化として一層状況を混沌とされるようにと呪いを掛けられてしまう。
「魔剣」を巡る争いには傍観者としての立場を貫いたことから生き残ることが出来き、退屈を見事に晴らしたとサイロリアより一定の評価を受けたが、不敬な態度をとったがために呪いは解けず、夢の中で責め苦を与えられ続けている。
■所感
当シナリオのトリックスターにして狂言回し。
物語を一気に加速し、殺し合い待ったなしへと叩き込んだ張本人w
とはいえ、傍観者としての立場を崩さず、常に一歩引いた視点を持ち続けた稀有な存在であり、強大な魔族にすら唾を吐く胆力は見上げたもの。
まぁ呪われてしまいましたのでw
一生魔族の退屈を紛らわす、道化師としてのみ彼の余生があることでしょう。
Ⅱ:フレード(PL:美緒)/テンプレート:若き「真理の探究者」 22歳 男性
運命
[63]無垢…無垢な魂を持ち、魔力を持たない代わりに魔法の影響を受けない。しかし、自らが魔法の力を求めてしまった場合、その無垢の加護は失われる
[42]死者の呪縛…愛する者をかつて喪っており、その存在に心を縛られている
→追加[41]死者たちの誘い…死者のうめき声、怨嗟の声が聞こえる
セッション終了時:死亡
魔導書を探し、古代の英知を発見しようとする「似非魔法使用者」集団・真理の探究者の若き団員。
無垢な魂を持つことから、魔力を持たない代わりにあらゆる魔法の影響を受けないという特性を持つ。
かつて彼には恋人がいたが、彼を狙った魔法に巻き込まれ彼女は死んでしまう。一方の彼はその特性から生き残り、以後彼女の存在に心を縛られてしまった。
ある日、新たに発見された遺跡に掘られた剣のレリーフを見たことを契機に、空に浮かぶ剣の影を見る。そして街で魔剣の主とすれ違った際、喪った恋人の声を聞くことになる。二つの事象は、空に浮かぶあの剣を得ることで、自らは再び愛する彼女に出会えるという直感を強く彼に与えた。
また、「魔剣」に関わったことで意識が深淵へと至る瞬間があり、その際亡き恋人の声を強く聞いてしまったがために死者の声が聴こえるようになってしまう。
誰よりも強く「魔剣」を求め、その力を開放すれば死ぬ定めにありながらも「魔剣」を我が物にしようと果敢に戦った青年。最後は命を燃やし尽くし、そして無垢なる魂を魔力で穢しながら散っていった。
息絶えた後、冥府にて愛する者と再び見えるため、暗闇のなかを駆けて行った。
■所感
願いに生き、命を燃やし尽くした青年。
ある意味最も『深遠』らしいロールをしてくださったキャラかと思います。
己の命も、他人の命も、世界の平和をも投げ打って、ひたすらに願いのために強大な力を求め、そして散ってゆく……
フレードは「夢歩き」の一つ一つが嵌った感があり、GMとしても印象深いですね。
Ⅲ:ジャバド(PL:フジキ)/テンプレート:「獅子王教団」の兵卒 26歳 男性
運命
[01]魔族の血…魔族の血が混じっている
[46]血に飢えた戦士…狂乱の呪いにかかっている
セッション終了時:死亡
庭園の貴婦人キスネスクの血を受けた魔族の子にして、狂戦士集団・獅子心王教団の元兵卒。
狂乱の果てに殺し尽くした己の業と、時折耳元に囁きかけてくるキスネスクの声に悩まされている。
ある日空に浮かぶ剣のイメージと、それを手にすることで自らの呪縛が解き放たれる直感を得るものの、彼はそれ以上に、魔族の血に抗い、人として戦って人として死ぬことを強く望んでいた。
「魔剣」を巡る争いでは、「魔剣」ではなく「魔剣の持ち主」との戦いを望み、そして挑んだ。その戦いの最中、もう一振りの「魔剣」を見事打ち砕き、一人の青年をその過酷な運命から解き放っている。そして、肉体の限界を超えて戦い続け、狂乱の果てに戦場に没する。
戦いに殉じた魂は庭園の貴婦人を甚く喜ばせ、今なお彼女の元にあり続けている。
■所感
業と魔族の囁きに苛まされながらも、最期は一人の青年を過酷な運命から解き放ち、望む戦いの最中で散っていった狂戦士。
PCとNPCを交互にロールし、キャラクターを最も深掘りされていらっしゃる印象を受けました。流石ベテラン!
本来GMが行うべき、PCのモティベートを共有することでお互いに葛藤が生まれる、という状況をPCとして自然に行ってくあださったのは、進行上大変ありがたいものでした。
Ⅳ:ヨーレイ(PL:ephe)/テンプレート:伝書使 24歳 男性
運命
[27]呪われた魔剣…魔族の作った魔剣に支配されている
[82]英雄との出会い…まもなく運命をともにする英雄と出会う
→追加[20]恐怖症…非常に恐れるものがある
セッション終了時:生存
深淵の底に封印されし、弱々しき者スリムイル。その魔剣「虹色の波」を、魔剣とは知らずに持ってしまっている青年。魔剣から響く、スリムイルによる幻聴と幻覚に悩まされている。
また、一方で「英雄に出会う」との予言をくだされた過去を持つ。
ある日見た天空に浮かぶ剣のイメージに、あれを手にすることで今自分を悩ませる幻聴、幻覚から解き放たれる直感を得る。本人は気づいていなかったが、「魔剣」の呪いから逃れるべく別の「魔剣」を求めるという不可思議な状況に陥っており、ふた振りの「魔剣」の間で彼の意志は揺らぐことになる。
「魔剣」を求める戦いの中で、彼の持つ「虹色の波」は砕け散った。戦いの最中に呪われた魔剣からの運命から解き放たれ、そして彼を解き放った英雄は狂乱の戦士であった。
運命から解き放たれた彼は(いつの間にか光る蟲をひどく恐れるようになってしまっていたが……)、一時の平和な日常へと戻ることが出来たのだった。
■所感
魔剣と英雄というなんとも主人公設定のキャラクター。しかも自らの持つ魔剣は砕け散り、それを砕いた戦士こそが彼の英雄だった……という見事な流れ。
このシナリオで唯一まともに救われたキャラでもあり、『深淵』的にはかなり貴重な存在ですw
Ⅴ:リーン・アルセリア(PL:こてつ)/テンプレート:治療師 25歳 女性
運命
[42]死者の呪縛…愛する者をかつて喪っており、その存在に心を縛られている
[23]沈黙の刻印…過去に魔族の呪いを受け、ある単語を口にすることができない
→追加[38]呪い…魔族に呪われている
セッション終了時:生存
かつて愛する者を救うべく魔族に縋りながらも、「魔族に頼るべきではない」とその恋人に諭され、むしろ殺すよう頼まれるがまま殺めた過去を持つ。そしてその行為が、呼び出した“救われることを望む者を救う”魔族・鳩の貴婦人レインの怒りを買い、以後彼女の名を口にすることが出来ない呪いを掛けられている。
愛する者を手に掛け、魔族とはいえレインを裏切ったことを深く悔いている。治療師を務めながら、人との争いを嫌い、世界が少しでも優しくなることを望んでいた。
しかしある日、彼女のもとに喋る鳩が現れる。その声はレインの声で、彼女の行為は自己満足でしか無いと痛烈に批判をする。そして真に悔い、許しを請うのであれば、「剣を得よ」と彼女を急かすのだった。
レインの求めるものが魔剣ワルラームであり、剣の侯爵ロンゲインの解放であること。そしてロンゲインを開放すれば地上に様々な災厄が降り注ぐことを彼女は知ってしまう。しかし、逡巡する彼女にレインは告げる。「行為でもって証明せよ」。彼女はレインに、新たな呪いを掛けられていた。
「魔剣」を巡る戦いでは、まるで「魔剣」を得ることを諦めた……かに見えていた。しかし、とある弓兵が魔剣を手にし、最凶の障害である狂戦士が息絶えた瞬間。
彼女は身を翻し、弓兵の胸元に短刀を突き立てた。争いを嫌っていたはずなのに。優しい世界を裏切ってまで。
最後に「魔剣」を得たのは彼女であった。
「魔剣」をもってロンゲインを開放した彼女は、深き眠りの果てで再びレインと見える。レインは鳩の貴婦人に相応しい微笑みを湛え、彼女を許すことを厳かに告げる。そして、彼女が目覚めたときに眼前に広がる光景こそが、その代償になったとの言葉だけを残した。
■所感
葛藤、相剋。そういったテーマで見ると、このキャラクターもまた大変『深淵』らしいキャラクターでした。
平和を望む気持ちと、贖罪の感情。「言葉ではなく行動で示す」と言った自分の言葉が、後々に自らを苦しめていく……という流れはマスタリングしてて大変に愉悦でしたw
最後の最後まで「叙事詩に残る一撃」を隠し持ち、裏切りの一撃をかましたのも大変に良し!
Ⅵ:コンラート(PL:オキ)/テンプレート:弓兵 25歳 男性
運命
[75]守護者の任務…魔族の封印を守ることを運命づけられている
[77]安息と不安…大事にしたい家族がいる。それを失う訳にはいかないと思っているが、不安を隠し切れない
セッション終了時:死亡
魔族の封印を守ることを宿命付けられた青年。彼には兄がおり、兄弟ともにその宿命に従って生きてきた。放浪の旅を続けながら、魔族の封印を守る日々を送っていた。
数日前に兄が怪我を負い、療養のため一時的に街に滞在している。それは彼の力量不足が招いた結果であり、今、少しでも力が欲しいと願っている。
ある日、彼は空に浮かぶ剣のイメージを見る。その剣を手にすれば、望む力を得て、守護者としての務めも容易く行えるという直感。また、街で「魔剣」の主とすれ違った際にその直感はより強く彼に響いた。そして、兄もまた同じ直感を得ていた。
取り憑かれたように、傷だらけの身体で剣を求めて家を飛び出そうとしていた兄を抑え、自らがその剣を得るべく彼は街を出る。
守護者たる彼がその願いを叶えるには、「魔族の封印を解かねばならない」という矛盾を知らぬままに。
「魔剣」を強く望んだ者の一人。戦いの果て、遂に「魔剣」を手にした筈であったが、一度「魔剣」手に入れることを放棄したと思われた治療師に一瞬の隙をつかれ、短剣を胸元に突き刺される。
「魔剣」を得ることに取り憑かれた兄を残し、そもそもその「魔剣」ではどうあっても彼らの宿命は果たせぬ真実を知らぬまま、彼の命の灯火は消えていった。
■所感
今回のシナリオで、最も不幸といえるキャラ。望みは果たせず、憂いを残して死んでゆくという……まぁ、それもまた『深淵』。
初心者の方にPvPという状況は大変に難しかったと思われますが、戦術戦略以上に“このキャラだったらどう動くか”という、ロールを意識すると無理なく動けると思います。ご参考までに。
※本来運命番号[20]恐怖症は、本来は魔族との出会いにより刻み込まれたものとの扱いですが、GMが失念していたためそれ以外の原因が由来となっています
【全体の所感】
と、いうわけで。
「力を求める者たちの前に、魔剣が落ちてくる。その魔剣をどうするか?」という、非常にシンプルかつPC、PLの判断、行動次第で如何様にも流れが変動する、まさしく『深淵』らしいシナリオでございました。
特に今回は初心者、『深淵』初体験の方も多いことから、ロンゲインの「解放」か「封印」かでPCたちが思い悩み、どちらを選んで行動し始めても『夢歩き』を駆使して逆の行動への欲求を高めつつ、それぞれが葛藤と相剋に悶える……という、そんなオーソドックス流れを想定していましたが……
物語の中盤で、某キャラによる策謀により物語が一気に加速。魔剣を求める者同士の壮絶な殺し合いへと流れこんでいくことと相成りました。
もっとPC間の人間関係が醸成され、それぞれに叶えたい願いがあるのだという共通認識を育てきってからクライマックスに突入させるのがベーシックな流れですが、今回のように一気に緊張が決壊して殺し合いに発展するのも、出会ったばかりの行き摺りの関係らしくこれはこれでドラマチックだったかなぁと。
ま、私が『深淵』のGMをすると高確率でPC間の殺し合いが始まってしまうのだから仕方ないね!私が煽った?いえいえ、全て『運命』と皆様の決断の結果でございますとも。キヒヒヒ……
最後に。『深淵』はそのシステム上、PvPとなるとリソースの削り合いになり、戦闘が長期化するので、6人もPCがいた故、大混戦となってしまいました。とりあえず、大変な長丁場になってしまいながら、最後までお付き合いくださりありがとうございました!
是非また『深淵』卓を立てたいと思いますので、その際は再びご一緒できることを願っております。
美しき物語のために死んだ者、望まぬ死を迎えた者、望みを叶えた者、望みを叶えながらも、幸福にはなれなかった者……
矮小なる人の子らの、悲喜交交その全て。
有象無象の区別なく、一切合財が深淵の淵へと吸い込まれ、大いなる運命の流れに流されてゆくままに。
最期に語り部の一句を用いて締め括らせていただきます。
語り残さん。これらすべてが夢で終わらぬために。
(7/21 更新完了)