台風の時期ですね。
今回は台風に対してパイロットが考えていることを書きたいと思います。
旅客機のパイロットは通常月末ごろに翌月のスケジュールが発表されます。
その時には当然自分のフライトに対して台風が重なるとは思っていません。
1週間前くらいに台風が発生したな、その影響が自分のスケジュールと重なるかな?と思い始めます。
進路によって自分のフライトのパターンと影響がない場合もありますが、目的地や経路上に台風の影響が出る場合があります。
経路上にある場合は、通常基本的な経路が定められておりその経路に従っていますが、その経路通りだと風の変化や台風の雲の影響を受けることで大きく揺れたりする場合、被雷する可能性がある場合などは迂回経路を選択します。
その場合、遠回りをする場合が多く時刻表より時間がかかる場合があります。
それだとその日の次の便やさらにその次の便への遅延の影響も出てきます。
その迂回経路を飛行しつつ出来るだけ台風の影響を少ないところで経路の短縮を狙っています。
経路の短縮の一つが数十秒〜2、3分あるかないかを工夫しながら、総合的に予定の時刻に着けるように運航しています。
目的地に台風の影響がある場合は、特に空港における風向と風速が影響されます。
飛行機は離着陸時に風の影響を大きく受け、滑走路方向からの風に対しては強いですが横からの風については弱いです。
さらには強い風が吹いている時には地形の影響を受け、風が乱れることにより着陸をやり直す必要性があります。
通常目的地の空港以外にも、もしその空港に着陸できない場合のため予備の空港を選定しています。
台風の場合は近くの空港も大抵天気が悪く、出発空港や通常より目的地の空港から離れた空港を予備の空港として選定します。
そうするとそこまでの燃料も持っておかなければならず、搭載する燃料の量が増えます。
搭載できる燃料の量は決まっているので、着陸をやり直す回数が決まってきます。
また燃料を持っていても予想以上に天候の回復が見込めない場合は途中で諦め予備の空港に向かう場合もあります。
通常すんなり着陸をやり直す場合は20分前後かかります。
その場合お客様目線で考えても酷く揺れる中シートベルトサインを点灯させながら2回3回と着陸のやり直しを行うとそれだけで1時間以上、その前からベルトサインが点灯している場合が往々としてあるので・・・一般の方だとだいぶ気持ち悪くなりますよね。
トイレに行きたくても酷く揺れていたりするのでトイレへも行けません。
総合的に考えて欠航になる場合が出てきます。
仕事でフライトの場合は如何に影響を避けながら目的地に着くようにするのか、そのために必要なことは何かを考えます。
プライベートで飛行機を使う場合は・・・その時期をまず外します。もしくは予定していた場合は帰りのことも考えて取り止めたりもします。
もし台風が発生していて飛行機を使っての旅行の場合は、もし知り合いにパイロットがいた場合は相談してみてください。
進路が読めないこともあるので直近にならないと細かいことは答えられないかもしれませんが、可能性は伝えられると思います。
以下は以前の台風関連です。
※※※※※※※※※
過去ログ
目次(一般向け)
目次(業界向け)
※※※※※※※※※