上昇中MEA未満をアサインされた状況で、ATCとコンタクトできない場合の飛行について | パイロットへの道

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Q;上昇中MEA未満をアサインされた状況で、ATCとコンタクトできない場合の飛行について

 

ATCとコンタクトできない状況として、

 

・混雑によりコンタクトできない

・周波数の誤認

・ロスコム

 

等により現在MEA未満で飛行をしており、あるFIX以降MEAが現在の高度より高い場合どのように飛行するか

 

A;MEAは最低高度であるため、そのFIXからMEAまで上昇する。

注;MCAの場合にはそのFIXまでにその高度に達しなければならない

 

 

根拠

 

(AIP ENR1.1-6)航空法施行規則206条

承認されていた高度若しくは最低高度 (最低経路高度MEA、 最低通過高度MCA、 最低受信可能高度MRA、 高度制限による高度 を指す。) のいずれか高い高度及び指示されていた速度を 維持して、 以下の時間まで飛行し、 その後通報した飛行 計画による高度及び速度を維持して飛行する。 ただし、 通信機故障の前に、 着陸のための降下の指示をされてい る場合は、 当該指示による高度を維持して飛行する。 

 

ii) レーダー管制業務が行われている空域では、 次の時間の うち最も遅い時間から7分間 

・ 承認されていた高度若し くは最低高度に到達した時間 

・ トランスポンダーを7600にセットした時間

 

最終的にはロスコムプロシージャーに従うが時間がある場合は下記による

 

AIMJ580.交信不能時の対応

管制機関等との交信ができなくなった場合は、最終的には航空法施行規則206 条に従って飛行を行うが、その前に通信を回復する手段を講ずるべきである。

 

AIMJ581. 交信回復の工夫

a .まず自機の無線機に不具合がないか調べてみる。

 i )周波数が間違っていないか?

 II )マイクの押ボタンが発信状態のままになっていないか?

 III )無線機の電源が切れていないか?

 

b.自機の無線機が正常であるにもかかわらず管制官の応答が得られない場合は、担当管制官が他の周波数で他の航空機と交信し ているために即答できないこともあるので、しばらく様子をみることが望ましい。

 

C.指定された周波数で管制官と交信できないと判断した場合は、次の方法によって通信の設定につとめる。

 i )周波数切り換え直後であれば前の周波数に戻す。

 II )当該管制機関の他の周波数に切り換える。

 III )次の切り換え周波数が予測できて、それが使えそうならばそれに切り換える。

 iv )最寄りの管制機関あるいはFSC  を呼び出す。

 V )他の航空機に通信の伝達を依頼する。

 vi )特定の周波数によって応答を得られない場合は緊急周波数121.5MHz / 243.0MHzによって通信を試みる。

注)以上のほかにHF, カンパニーレディオ,ACARS,SATCOM, 航空機電話などを利用してパイロツトの意向を管制機関に伝えることも考えられる。

 

d,他機の交信は聞こえるが呼出しに応答がなく、送信機の故障と考えられる場合は、トランスポンダーを7600 に切り替える。それによってレーダー覆域内であれば通信機の故障が伝わり、管制機関からの指示(受信機の作動確認)にトランスポンダーIDENT, ST-BY, NORIVLAL 等によって応答することにより、その後もレーダーサービスを受けることができる。