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これを、読みました。知識はないのですが、こういう内容には不謹慎ながら興味がありまして。

これは、刑務所で看守などを勤められた坂本敏夫さんが、死刑執行はどうあるべきか、死刑囚処遇はどうあるべきか、死刑は執行すべきなのか。

そうした議論のきっかけになることを願って書かれた本です。

2010年に書かれた本です。

他に本を読んだり、知識を得なければ安易なことは言えませんが、あくまでこの本を読んだ感想を、軽く書きたいと思います。

では、まえがきと目次です。


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毎回見づらくて申し訳ありません。


プロローグから、見逃せないことが書かれています。

死刑を逃れた者の中には死刑判決を受けた者より、はるかに悪い「許されざる者」がいる。

…あえていうが、本来死刑判決を受けるべき犯罪者が死刑を逃れ、死刑になってはならない者が死刑になっている事例が確実に存在する。

どういうことか。冤罪のことかな、と思いながら読み進めました。

第1章、死刑執行命令-永山則夫の真実

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永山則夫の死刑執行。東京拘置所で執行されました。1997年、8月1日。

永山則夫は昭和24年生まれ。
地方で生まれる。父親に逃げられ、母親に捨てられている。いわゆる「金の卵」として集団就職。
とても苦労したようです。

周りとうまくやれなかったのか、素行は悪かった。ホームレス生活をしていた永山。

ホテル敷地内ならいい寝る場所があるだろうと忍び込んだホテルのガードマンに声をかけられ、持っていた拳銃を発砲し殺害したのを皮切りに、何の罪もない、それに永山則夫と全く面識のない人を、全部で4人殺害。

読み書きも出来なかったが、拘置所に入り学を得て、数々の著作を執筆。全部で6冊。当初から被害者家族へのお詫びの気持ちを表明し、著作の報酬は全て被害者の遺族に渡るようにした。

日本における重要な文学賞の一つである「新日本文学賞」を受賞した。作家として数々の著作を世に出したため、世界にその名を知られていた。

アムネスティ・インタナショナル、国際人権擁護団体、ドイツ作家同盟などがそれぞれの国にある日本大使館を通じて日本政府に恩赦要請の書簡を送るなどしていた。法務省は、外務省を通してたくさんの書簡を受け取っていた。

日本では当初から永山則夫は有名で、少年事件の厳罰化と少年法改正の必要性を喧伝して世論を動かしていた。

しかし被告になり裁判が始まり、永山の生い立ちなどが明らかになるにしたがって、「極悪人」から「気の毒な少年事件死刑被告人」という同情が大きくなっていく。

だんだん死刑制度の存廃論議にもつながっていく。

さまざまな事情があって注目を集めている永山をはじめとする有名死刑囚など、死刑の執行が難しい死刑囚についてこそ、検察は死刑執行に激しい意欲を燃やす。

そして起きたのが1997年5月24日、いわゆるサカキバラ事件。

少年の重大事件が起こると少年法が改正され、見せしめのための死刑執行が行われることがあるそう。

永山は、同年8月1日に死刑執行されました。

この世界の独特さ、異常さもわかります。

でも永山則夫は冤罪ではなく、殺された方々は、なんの罪もなく突然「運悪く」永山に遭ってしまった。

永山則夫には改心、更生の時間があったけれど、殺された方々の時間を取り戻すことはできません。

少年法は罰のためにあるわけではないけれど、
改心したから死刑は免れるように…というのも、ムシのいい話だと思ってしまうのも正直なところ。

「殺すべきでなかった死刑囚、永山則夫」。

複雑な気持ちで読みました。


第2章は、形死の作法。

改心し死を受け入れたはずの死刑囚が、死刑宣告に対して抵抗します。

それはだまし討ち、不意打ちのような現行のやり方への不満と、極悪人は抵抗しながら死んだという、ざまあみろといわれるような死に方をすべきだという考えに基づくもの。

死刑囚の精神はかなり高いレベルに達していました。

後者は、納得。

前者には、反対です。

被害者は、だまし討ちどころか死ぬ必要のない人がいきなり無残に殺されているのですから。。。

第3章 東京拘置所死刑囚舎房

刑務官であることを妻に隠して勤務し、子供を望まなかった山崎さん(仮名)と、それに気づけなかったと悔やむ妊娠した妻。

日頃仕事に誠心誠意を尽くす山崎さんと、理解のある妻。

2人のあたたかさに、救われる章です。

第4章 レクイエム

これはおそらく、昔の話。 

死刑宣告から、即執行ではなく、死刑囚達とも、連絡が通じればご家族ともお別れのできるときの話。確かにこれはこれで、救われます。

死刑囚も、どんなに残酷なことをした人間も、人によっては、人なのだなと、考えさせられます。

第5章 冤罪の正体

免田事件の内容を、免田さんの手記も併せて。
概要を知り、恐ろしいと思いました。
こんなことが突然自分や家族や、周りの人に降りかかったら…。

そう思いながら読み進めたら、冤罪や罪状を増やされてしまった人など、どんどん書かれていて苦しくなりました。

特に自分の記憶にあった事件は、2000年、北陵クリニック事件。患者5人の点滴に筋弛緩剤を混入したとして逮捕された守大助さん、当時29歳。これは冤罪の可能性がかなり高いそうです。

当時、恐ろしい人がいるものだ…と思ってテレビに映し出される写真を見ていた記憶があります。

まさか、濡れ衣の可能性が高いなんて…。

守さんは無期懲役確定。
現在特別抗告中。

今、47歳ですね。

無罪だとしたら、そんな長い年月を逮捕されたままだなんて…。

事実が明らかになることを切に祈ります。


読んで、ここにご紹介出来ている本が、これで14冊爆笑