部分麻酔での内リンパ嚢開放術を受ける①の続きです。
「では、耳の後ろ側に麻酔をしていきますね」と先生が言われると、
耳の後ろに、麻酔の針が入りました
麻酔の針は深く入り、数か所に刺していきました。
最初に入った針はとても痛く、目を固く閉じ、身体に力が入りました
麻酔の3ヶ所目くらいまでは、針を刺す痛みを強く感じましたが、その後は、最初に入れた麻酔が効いてきたのか、少しずつ針の痛みは感じなくなりました。
麻酔が終わると、先生が掌で、耳の周辺を何回か抑える様な動作をしました。
恐らく、耳周辺に麻酔が行き渡る様にしているのだろうと思いました。
これは、あくまでも私の推測です。
先生はその動作を暫く繰り返すと、耳周辺の麻酔が効いてきたかを確認する為に、何か所か耳周辺を触り、私に感覚の有無を聞いてきました。
私は、感覚がない事を先生に伝えました。
「では、手術を始めていきますね」
と言われ、手術が始まりました
先ず、電気メスの様な音が聞こえてくると、先生が私の耳に少し当ててきて、
🥼「これ、痛み感じますか?」と聞いてこられました。
「痛くないです」
と答えると、そのまま耳の後ろ側を、耳に沿って切開していくようにメスが動きました
麻酔をしていると、痛みは感じないのですが、何かが耳に当たっている感覚はあります。
そして、焦げ臭い匂いや、手術器具のカチャカチャする音も聞こえてきますので、とても恐怖感を感じました
かなりのスピードで耳の後ろを切って行くのが分かりました
耳の後ろを切った後は、耳をめくった所に側頭骨があり、それを削っていきます。
手術の流れに関しては、事前に先生より説明がありましたので、今、骨を削っているんだなというのは分かりました
この側頭骨自体が、リンパ水腫を招いている原因の場合もあるので、そこを削るだけでも、効果があると術前の説明で言われていました。
そして、先生は、側頭骨を500円程の大きさまで削ると言っていました
私は頭の中で、自分の耳の中の骨に、500円玉分くらいの穴が開く図を想像していました
骨を削っている時、削っている部分が痛いのではなく、骨を削る振動が、麻酔の効いていない部分に響いて、にぶい痛みを感じました
このまま痛みが強くなるのが怖かったので、
「先生少し痛いんですが…」
🥼「でも、ここは骨ですよ」
「はい、でも何か痛みを感じるんです」
その後、先生がどう処置をされたのかは分かりませんが、痛みはほぼ感じなくなりました。
下記が、私に施された内リンパ嚢開放術の術式です。
(側頭骨を削ると、脳硬膜が露出し、半規管とS状静脈洞との間の内リンパ嚢を見つけ、嚢を切開します。
開放した内リンパ嚢内にプレドニゾロンの薬塊を挿入溶解します。
さらに、吸収素材のフィルムの束とデキサメタゾンを付けた吸収素材のスポンジを挿入留置します。)
※めまいの待合室より引用
これは、メニエール病の手術に関して、記載している部分を書籍から抜粋したものです。
聞き慣れない言葉ばかりで、何のことやら、サッパリ分かりませんが、書籍の中では、説明文と一緒にイラストが付いているので、そのイラストを見ながらだと、こんな手術なのかというのが分かります。
そして、実際に私が受けた手術内容についての事前説明は、上記のような専門用語を使ったものではなく、平たい言葉での説明でした。
こんな感じです
🥼「まず、耳を切開して耳の中を開けると、側頭骨という骨があります。それを500円玉くらいの大きさに削っていきます。
この側頭骨を削るだけでも、かなりリンパ水腫を防ぐ為には効果的だと言われています。
そして、その奥の内リンパ嚢を開放します。
その後、開放した囊に、ステロイド薬の小さなスポンジのような物を入れます。
更に、開放した嚢が直ぐに閉じるのを防ぐ為に、囊を反転して留めます…」
といったような説明でした。
この時、先生は、メモに簡単な内耳のイラストを書きながら説明をされたので、なるほど🧐と、だいたいは納得しました。
この事前説明に関しては、その医師のやり方や術式によって説明の仕方は違うと思います。
話しが逸れましたので、話を手術中に戻します。
側頭骨を削った後は、何をしているのか、私には全く分からず、痛みも殆ど感じませんでした。
ただ、先生と助手の先生との会話が聞こえてきたりしましたので、その内容にと思ったりすることがありました。
手術の途中で、先生が、私の意思確認をしたり、現状の手術の流れを説明したりする場面もありました。
ただ、手術の後半位になると、処置室に入る前に打った注射がようやく効いてきたようで、時々頭がボーっとする時もあり、先生の問いかけに反応したり、しなかったりになっていました。
手術が終わりに近づくと、
「もう、切った所を縫合したら手術は終わりますからね」と言う、先生からの声掛けがあり、耳の縫合が終わると、ようやく手術が終わり、一気に緊張が解けました。
「先生、ありがとうございました」
🥼「手術は無事に終わりました。1回目の手術より、大きく開放しておきましたよ」
これは、恐らく内リンパ囊の事だと思います。
そして、そのままストレッチャーで病室へ戻りました。
病室に戻ると、暫くして、執刀された先生が病室に来て、術後の状態を確認されました。
その時の私は、天井を見ると、天井の柄が流れるように見えていたので、その旨を先生に伝えました
🥼「今は、内耳が敏感になっていて、眼振が出ているのだと思います。
暫くしたら落ち着いてきて、眼振もなくなりますよ」
と言われ、安心しました😮💨
それを聞いて、そのまま少し眠りました。
目を覚ますと、言われた通り、眼振は治っていました
全身麻酔の時は尿道に管が入っていたり、麻酔から完全に覚めるのにも時間がかかり、暫く動ける状態ではなかったです。
でも、今回の部分麻酔の手術では、病室に戻ってから数時間後には意識もハッキリし、直ぐに一人で立ち上がり、トイレにも行くことができました
部分麻酔下での手術は、手術の間はとても恐怖感がありましたが、病室に戻ってからの回復時間は早く、その点については、とても楽だったと思います
(この術後の経過については、あくまでも、私が手術した時期の、私の場合の話であって、あの頃より年数が経った、現代の医療体制は変化しています。
手術する方の年齢やその人の体質によっても術後は変わってくると思います。
ふらつきや気分の悪さなど、暫く続く場合もあると思いますので、全ての人が私と同じになるとは限りません)