岸田首相が強行「インフレ率を下回る年金」に高齢者悲鳴…実質“目減り”も救済策なし | チェンマイにロングステイして

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値上げラッシュが続く中、年金生活者には過酷な一年になりそうだ。年金支給額が物価や賃金の上昇率より大幅に引き下げられるからだ。
岸田首相は今月4日の年頭会見で「インフレ率を超える賃上げの実現」を訴えていたが、高齢者の賃金とも言える「年金」は別のようだ。

 年金額は68歳以上が前年の物価変動率(22年は2.5%)、67歳以下が過去3年間の賃金変動率(19~21年度平均は2.8%)に基づき、決定される。

■「マクロ経済スライド」を発動

 ところが、岸田政権は両上昇率より年金額を低く抑える「マクロ経済スライド」を発動。23年度の年金額は本来の上昇率より0.6%引き下げられ、68歳以上は1.9%増、67歳以下は2.2%増にとどまる。実質「目減り」である。

 厚労省は「マクロ経済スライドの発動は、時の政権が判断するのではなく、法律にのっとって行われている」(年金課)としたが、年金の目減りに対して、岸田首相は何か手を打たないのか。

「昨年の春、22年度の年金減額の穴埋めとして年金生活者に5000円支給が検討されました。最終的には見送られましたが、夏の参院選を意識してのことでした。今回は当面、国政選挙がないこともあり、岸田首相は年金の実質目減りに対する救済策は何も考えていません」(政界関係者)

 高齢者にとって年金は命綱だ。厚労省が行った2020年の所得についての調査によると、高齢者世帯(65歳以上のみで構成か、これに18歳未満の未婚者が加わった世帯)の収入のうち、年金や恩給のみが占める世帯は25%、8割以上は約6割に上る。

 東京商工リサーチによると、今年予定されている食品値上げはすでに1万品を超える。こんな状況での年金目減りは痛すぎる。

「賃上げを強調しながら、年金の目減りは平気でやる。高齢者に冷淡な岸田首相の姿勢がよく表れています。年金の問題は高齢者だけでなく、現役世代にとっても、将来自分に降りかかる問題です。マクロ経済スライドはインフレでは国民をいっそう苦しめることがわかりました。国民的議論が必要です」(立正大法制研究所特別研究員・浦野広明氏=税法)

 フランスでは年金の支給開始年齢引き上げなど年金改革案に国民が猛反発。19日に全土で行われたデモの参加者は112万人に上った。

 日本国民も怒った方がいい。

マクロ経済スライドとは?
そもそも年金の支給額は、物価や賃金に応じて決められることになっています(これを物価スライドと言います)。インフレ・デフレに関わらず、世代間で不公平にならないようにする仕組みです。

しかし、日本の年金制度は年金を納めている現役世代が減り、受給者が増えれば、最終的には受給額を支払うことができなくなってしまいます。そこで登場したのが「マクロ経済スライド」という仕組みです。

これは、そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みで、今年(2015)の4月から適用されます。

2014年は、物価が2.7%上昇、そして賃金は2.3%上昇しました。
これまでなら、伸び率の低いほうにあわせて年金の支給額も改定されるため、本来であれば2.3%上昇するはずでした。
しかしながら、マクロ経済スライドが適用されたため、0.9%の引き上げにとどまったのです。