▲谷進一監督


Q1.何がきっかけで、沈黙の50年を選んだのでしょうか? 

 

2018年、仙台ではじめて優生裁判がありました。それをきっかけに全日本ろうあ連盟もろう者の実態調査を開始しました。そして優生保護法についての学習会や講演が開かれるようになり参加してきました。被害者の手話で訴える記録を残すべきだと想い立ちましたが、当時はまだ顔を出して訴えて良いという人に出会えずに断念しました。代わりに訪問看護の短編映画『ホームナース』の中で、盲腸とだまされて手術させられた女性を登場させました。その後、新作映画『ヒゲの校長』の神戸上映会で大矢暹さんと再会。優生保護法に関する映画をやろうとなりました。庄﨑隆志さんが舞台で「沈黙の50年」をされていたので、それを参考にスタートしました。

 

Q2.この映画で伝えたいことは何でしょうか? 

 

多くの障害のある人が、子を産み育てるという権利を奪われてきたこと。 それを国が主導してきたにも関わらず、いまだに正式な謝罪もせず、補償もせずに裁判を長引かせていること。みなさんの関心が高まれば、もっと真摯に対応するのではないかと感じています。そして今も優生思想は残っていること。 

 

Q3.この映画を制作するうえで苦労されたことは何ですか? 

 

全国にいらっしゃる高齢被害者のみなさんの撮影や調整。 今回、初めて小劇場を借りて回想シーンを撮影しましたが、 劇場内での撮影も難しかったです。 主人公・小林さん(92)の体調に気を付けること。 

 

Q4.この映画で力を入れたことは何でしょうか? 

 

小林さんの苦しかった過去に寄りそうこと。 小林さんの想い出の場所でも実際に撮影したこと。 

 

Q5.最後に何かひと言お願いします。 

 

まだまだ優生保護法について知らない人が沢山いらっしゃいます。 だまされて手術させられた人は自分が被害者だと知らない人もいるでしょう。 みんなが優生保護法を知り、多くの被害者のことを理解して欲しい。 決して昔のことではなく、今も残っている優生思想を考えながら 映画をご覧頂ければと思います。 5月4日の神戸を皮切りに愛知、長野、岐阜、東京、栃木などで上映されます。 京都でも8月18日に決まりましたので、是非とも最寄りの会場でご覧下さい。

 

大変勉強になりました。

ありがとうございました。
 
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