彼を探しています。 | 千秋オフィシャルブログ 苺同盟

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彼を探していた。







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彼は、いない。







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20歳の頃、フリーマーケットマニアだったワタシは毎週のようにフリマに繰り出していた



毎週毎週、代々木中野錦糸町市川高円寺川崎横浜まで。



いつも行くから友達も沢山出来た



いつもいるフリマを生業としている業者のみなさんとか。



顔なじみだからフリマの色んな常識を教えてもらった



フリマあるある。



どこの場所だと3割高いとか



あのおじさんはどこで仕入れているとか。



その中に、志村けんさんの「変なおじさん」さながらの、リアル変なおじさんがいた。



どこで仕入れたのか、もしかしたらどこかで盗んできたのか、とにかく訳のわからないガラクタばかりを並べて、いつも喋っている。お酒ばかり飲んでいる。儲けなんか気にしていないのだろう。時々いなくなる。マジックで「みて」という文字だけ書いた段ボールを並べたまんまいなかったりする。でもいつも並べているものは違う。毎週違うものが並んでいる。ちょっとした名物おじさんだ。



年齢は50か。60か。汚いかっこ。名前は「まさ」。それしかわからない。



だけどまさのお店は見ただけでわかる



置いてあるものは毎回違うのに、その独特のセンス、ディスプレイでまさのお店はすぐわかる



興味深いので毎週話しかけているうちにワタシは仲良くなった。



しかしまさのお店は接客をしないせいで全然売れない。



見兼ねたワタシはある時、店番を買って出た。



「え?いいの?」



ヒマだし別にいいよ、と言うと、だいたいの売り物の値段を教えてくれ、お釣り用のお金も渡してくれた。



「やったあ~」と言いながらまさはどこかにいってしまった



1時間ほど店番をした。結構売れた。しかし全然帰ってこない。



2時間ほど経った。寒くなってきた。帰りたい。しかし全然帰ってこない。



もう帰っちゃおうかなあ・・・



お店に並んでるガラクタはこのまま放っておいてもいつものことだし大丈夫だろう



でも。このお金。



売り上げた金は1万円を越えていた。これを置いておく訳にはいかない。



だったら一度持って帰って来週また会うだろうしその時返せばいいか。



当時は携帯もない。連絡先も知らない。



どうしよう・・・・・



でももう凍えそうだし帰っちゃおう。



そう思って片付けをしていると向こうからまさが来た。



「あ、ちょうどよかった。いっぱい売れたよ。はい、これが売り上げ金」



と、ワタシは待ってたかのように普通に渡した。



今、ほんとは帰ろうと思ってたんだけど。



そしたら、そのお金をみてまさが



「こんなに売れたの?それを全部返してくれたの?これを持ち逃げすることも出来たのに?君は全部返してくれたの?・・・・・なんていい若者なんだ・・・・・俺は・・・・・もしかしたらって疑ってたんだよ・・・・・。戻ったらいないかもなって。なのに・・・・・」



と言って涙を流した。



大の大人がえんえん泣いているのを初めて見たかもしれない。



勿論お金を取ってしまおうなんて思ってなかったけど、帰ってしまおうとは思った。



帰らなくてよかった。



でも



「ありがとう。ありがとう。」と泣く純粋なまさに、なんだか悪いなあって思ったのは事実。







それからしばらくして、ワタシはフリマに行かなくなった。



ちょっと飽きてきたのかもしれない。







そしてまた何年か経って、フリマとはまた違う、世田谷ボロ市に行った。



骨董品が並ぶ。



その中の一角に、目を引くお店があった。







模様が描いてある陶器で出来た古い便器が並ぶ。



なに時代のものだろう。



おそらく骨董品だ。



しかしなにしろそれは便器。



未使用かもしれないが、異様な雰囲気。



そして、そのひとつの便器の中に袋に入った落花生が置いてあった。



なんだか食べかけの落花生。



便器に食べかけの大量の落花生・・・



それを見た瞬間、思い出した。





「まさだ!」





ワタシはお店の人を探した。奥に人がいる。誰?誰?どんな人?



おもむろに出てきた人は・・・



「まさ!」



「?・・・???・・・おう、ねえちゃんか?」



まさに、まさだった。



このお店の雰囲気だけでわかった。もちろんフリマ形式だからお店の名前もないのに。置いてあるもの、空気感、それだけでわかる。



どこの誰だか知らないけれど、まさってことしか知らないけれど、ちゃんと世田谷ボロ市に合わせて骨董品を並べる辺り、ただの変なおじさんではなさそうだ。それも骨董品の便器だなんて。キャラもわかってるのか。



「この落花生、食うか?」



「い・・・いらないよ・・・」



「久しぶりに会ったんだ。持って行けよ。」



そう言って便器の中の落花生を雑に掴んでワタシにくれた。









それから10年、いや15年は経っただろうか。



たまたま行く機会があり、仕事と幼稚園の間にたった20分だけ寄った、12月の世田谷ボロ市。



ついこの間。







彼を探していた。







まだ、いるような気がして。



途中から売りものではなく、お店の人の顔ばかりを覗いていた。



まさ、まさ、まさ・・・・・



生きているならもう80歳近いだろうか。



12月、見付からなかった。



いるかいないかもわからないけれど。



いや、生きているかもわからないけれど。



まさ、ワタシ、あの時話していた夢を、叶えてるんだよ!







今度のボロ市、もう一度、まさを探してみよう。








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12月のボロ市戦利品。


おばあちゃんが編んだアクリルたわしと


昭和の文房具。









まさに、会いたい。







何かまさに関する情報がありましたらよろしくお願いします。


プチメにてこの記事に関することのみ受け付けております。


管理人さんチームのお正月業務につき、それ以外はお控え下さい。