本日は役員を増員する場合の変更登記について書いていきたいと思います。

いろいろ調べても役員変更のパターンがありすぎて全然わかりませんでした・・・

法務局のホームページもわかりにくい・・・

 

頑張って自分で調べ、法務局に電話したりもして申請を終えたのでここに記します。

 

 

【そもそもなんで私が役員になることになったのか】

 

さて、私は昨年2023年の4月、夫が会社を設立し自動的に社長の奥さんになったわけですが、会社に雇われた社員でもなければ役員でもなければパートでもなんでもないただの無職状態な社長の奥さんでした。

とはいえ、会社設立前後から経理関係や雑務や編集の手伝いなど、子供を見つつもやっていました。

 

しかし、そもそも子供を見ながらなんて無理があるわけです。

去年1年間は、保育園申し込むも待機児童となりどうしようもなかった。

育休復帰でもないし、無職だし(とはいえフルタイムで働く予定として申請)点数が低かったから・・・

しかし2月下旬に突然枠が空き、第5希望の保育園に4月から入れることに!!!!!!ファー!!!!

 

そこで私がちゃんとこの会社で働いている証明が必要になりました。

夫の扶養で無職の無収入だから、就労証明書を書いたところでなんの証明にもならず・・・

 

正社員として雇った場合に最低賃金の給料を出すことすら難しい経営状況なので、

私を役員報酬0円の代表権のない取締役に就任させ登記変更をし、その登記簿の証明書を提出することになりました。

 

まどろっこしいけど、保育園の申込では点数が高くないと入れないのが現実。

育児しながら仕事には限界がある。育児しながら働いてるけど証拠も証明もないなら保育園入れない。

完全に負のループでした。

 

私の取締役就任はもはや必須事項であった。

 

 

【変更登記、なにから手をつければ???】

 

そして変更登記をすることは決定したものの、法務とかの知識ゼロの私はパッパラパーでした。

 

とにかく法務省のホームページから司法書士さんのブログやサイト、会計ソフトや会社設立サイトの記事などを読みまくり、なんとか自分がするべきことを見出しました。

 

簡単に説明すると・・・

 

①臨時株主総会の開催で新たな役員就任を決定する

②臨時株主総会議事録作成
 ※場合によっては就任承諾書も作成

③株主リスト作成

④オンライン申請ソフトで申請・電子納付

 

完了!!!

 

 

これだけ書くとめちゃくちゃやること少ない。

言ってしまえば書類を2つか3つ、その辺に転がってるひな形を使って作成し、

オンラインで申請して電子納付すれば完全にフルオンラインで完了できる。


でもこの簡単さにありつくまでの道のりが長すぎ・・・

 

 

【変更登記にあたり、確認することが多い】

 

ただ役員を変更するといっても、いろんなパターンがあるわけでみんながみんな同じやり方で済むわけではないんですね。

そのために確認することがたくさんある。

 

まず自分がどのパターンに当てはまるのか。

役員が任期を迎え重任の手続きをするのか、辞任や死亡により退任する人がいて同時に新任の人がいるのか、

取締役なのか監査役なのか、役員を新たに増員するだけなのか、などなどパターンありすぎ!!!

 

まず私が当てはまるのは、「取締役が新たに就任する」ということに違いない。

単純に役員を増員させたいだけ。これは明確。

 

さて次に、「取締役会の設置があるかないか」というのもポイントに。

 

これによって用意する書類が変わってくるらしくて・・・

 

そこで絶対確認することになるのが『定款』です。

ここに書いてあることが全てを握っている・・・

 

自分の会社の定款を確認したところ、取締役会に関することは一切書いていないのでまず取締役会の設置はないと判断。

そもそも取締役会は取締役が3人以上いて初めて設置できるっぽくて、取締役が一人しかいない夫の会社なら定款を確認するまでもなかったのですが・・・笑

 

そして定款が全てを握っているというのも、そもそも役員を変更するにあたり定款で定めていないことがあった場合に、役員変更だけではなく定款変更の登記も必要になってくるんです・・・!絶対的に定款が全てを握っている。定款が全て。

 

例えば私が確認したことはこちら。

 

・取締役会の設置について

 これは先ほど書いた通り、取締役会の設置はありませんでした。


・取締役の人数について

 「取締役は1名以上」、「(株主の中から選ぶこととしているが)必要がある時は株主以外の者からの選任も妨げない」との

 記載があったため、取締役の増員、しかも株主以外の人間でも就任可能なことを確認。


・代表取締役の決め方について

 「代表取締役は互選で定めるもの」とあったため、新たに取締役が増えた場合は互選というのをしなければならないのか・・・

 と思っていましたが、調べたところ臨時株主総会での選任時に「代表権のない取締役」であることが明確にされていれば

 互選は不要で、現在の代表取締役がそのまま代表となる。
 

・任期について

 これは今必要な情報ではないのですがオマケとして。「任期満了前に退任した取締役の補欠として、又は増員により選任

 された取締役の任期は、前任者又は他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする。」との記載があったので、任期満了時の

 重任手続きが個人個人でずれることなく同時に重任手続きができることがわかりました。変更登記の度に登録免許税1万円が

 かかるからこの記載は助かります。

 

だいたいこれくらいのことを確認したうえで、必要な書類がなんなのかを法務局のホームページで確認します。

 

 

【必要書類を揃える】

 

まずオンライン申請をすることが前提であるので、紙の申請書は不要。

しかし別紙というか添付書類が必要になってくるので何が必要なのかを確認しなければなりません。

 

法務局のホームページにある『商業・法人登記の申請書様式』というページの、

1-10    株式会社役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員(取締役)が就任した場合)

という項目を確認しました。

 

PDFの記載例があるのでそちらを見てみると、株主総会議事録や株主リストなど、必要な書類のひな形まで載っていて思ったより親切でした。(とはいえ知識ゼロの私にとってはわかりにくい)

 

ひとまず私に絶対必要な書類は、

 

・臨時株主総会議事録

・株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)

・就任承諾書

 

以上の3つです。

 

ひとつずつ説明します。

 

・臨時株主総会議事録

これはどんなパターンでも必ず必要になってくると思います。

たまたま定時株主総会で決めたのなら定時株主総会議事録でも構わないと思いますが。

議事録のひな形を参考に作成しましたが、少し変更した点があります。

夫の会社は「みなし決議」で議事録を作成しているので、みなし決議仕様で作成しました。

株主総会を実際に開催していた場合はその場で選任された取締役が就任を承諾した旨を記載すれば

「就任承諾書」の添付を省略することができるのですが、みなし決議だと実際に会を開いていないのでその方法は使えません。

なので、今回は就任承諾書を別で用意する方法を取りました。

 

※就任承諾書を省略する場合は議事録に「選任されたものが席上、承諾した」のようなことの記載と、選任された取締役の名前・住所の記載と、市町村に登録している印鑑を押印し、申請時の添付書類欄に「就任承諾書は、株主総会議事録の記載を援用する。」と記載すれば省略できるそうです。その場合は印鑑証明書も必要になるそうです。(取締役会の設置があるかないかでいろいろ変わってくるみたいです)

 

 

 

・株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)

こちらもどんなパターンでも必ず必要な書類かと思われます。

株主は夫だけなので、こちらもひな形を参考に簡単に作成しました。

株主がたくさんいる会社だと作るのはちょっとめんどくさそうです。

 

 

・就任承諾書

さて、こちらは私自身が取締役になることを承諾するための書類になります。

こちらもひな形をほぼ丸写しで作成。

私自身が作成し、私の市町村に登録している印鑑(いわゆる実印)を押し、印鑑証明書も併せて必要になるらしいのですが・・・。

 

 

【印鑑証明書は本当に必要か?】

 

私の疑問

オンライン申請での添付書類に印鑑証明書を添付する時って、紙での印鑑証明書をスキャンして提出してもいいのか?

 

オンライン申請の場合、添付書類に電子署名することでフルオンラインで申請が可能らしいのですが、電子的ではない紙の書類である印鑑証明書はいったいどう扱えば・・・?という疑問が。これ紙じゃんよ。

紙でもスキャンして電子署名すればOKなの?どうなの?そもそも電子署名ってなに?

ということで、これだけはどれだけ調べてもわからなかったので法務局へ問い合わせました。

 

結論からいうと、紙のものは持参または郵送で提出するしかない。
というかフルオンラインで申請する場合、新任の取締役の電子署名があれば印鑑証明書がそもそもいらないのだそう。

私が電子署名についての知識に乏しいのも悪いのですが、そもそも電子署名には私の名前や住所の情報が入っていて、

印鑑証明書と同じような効力があるっぽいです。へぇ~!!!!

 

オンライン申請時に添付する書類はそもそも電子的に作られた書類に電子署名されたものしか添付ができず、電子署名ができない紙媒体の書類は法務局へ持参または郵送で提出するという、いわゆる「半ライン申請」をするしかないらしいです。

 

たとえば臨時株主総会議事録にしても、紙に印刷して会社のはんこや代表取締役のはんこを押したものであれば、持参・郵送での提出になります。

 

ワードで作成しPDFに変換した書類を印刷はせず、オンライン申請システム上で電子署名をすればそれは電子的な書類として添付が可能になるそうです。へぇぇぇぇぇ~~~!!!

 

したがって、私が自分で作成した就任承諾書に私自身の電子署名をすることで、紙の印鑑証明書は省略が可能!

(印鑑証明書の発行手数料も浮いたね!)

 

 

【いざ、オンライン申請】

 

まずオンライン申請をするにはソフトをインストールしたり、申請用IDを作ったりと事前準備が必要になります。

それについては会社設立時に夫がすでに使っていたので、事前準備はスルーです。

 

しかしソフトの使い方や申請方法などはわからないことだらけ。

またまた法務局のホームページからいろいろ探して、

操作方法のガイドをダウンロードしてそれを見ながらやってみました!

 

法務局というか、申請システムである『登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと』のホームページより、

操作手引書【簡易版】のダウンロード というページから必要なものをダウンロードして参考にしました。

 

私が使ったのは、

 

申請用総合ソフト(商業・法人登記申請)

 

1-1 商業・法人登記申請 【共通編】

 

1-7 申請情報作成例⑥ 【株式会社役員変更編】
(取締役の辞任及び就任の場合)

 

 

この2つです。

とりあえずこれさえ見ておけば問題ないです。

 

ちなみに電子署名をする時はマイナンバーカードを使ったので、ICカードリーダーが必要になります。

 

操作方法がわからない場合は、専用の問い合わせ窓口もあり、親切なお姉さんが優しく教えてくれます!

(親切なお姉さんが電話に出てくれるかは運任せ)

 

とは言え、操作に関しては本当に操作手引書を見ながらやればつまづくことはないと思います。

 

 

【申請後、ソワソワ】

 

申請書を作成、添付書類への電子署名、電子署名をした添付書類の添付、申請書への電子署名、送信!

 

その後は電子納付をして、結果を待つわけですが・・・

 

ちゃんとできたかどうかソワソワします。

 

至らない点があると「補正」っていうのが入るらしいのですが、それが来るのかどうか、

そもそも申請後どれくらいで結果が出るのか、ソワソワしかしません。

 

さらにこれは私のミスですが、金曜日の夕方に申請をしてしまいました。

土日はオンラインだろうとシステムはお休みです。

つまり月曜日までソワソワを持ち越しです!!!!

 

 

【ソワソワのその先は…?】 

 

結果、月曜日の午前中に確認したら、「手続き完了」と表示されており、

補正が入ることもなく無事に変更登記が完了しました!!!!

おめでとうございます私!!!!

 

※ちなみに、オンライン申請の場合は補正などがなければ原則24時間以内に完了するそうです。木曜日にやっておけばよかった…!

 

 

【ついでに登記事項証明書も申請】

 

 その後、保育園用に市役所へ提出しなければならない登記簿の証明書が必要なため、そちらもオンライン申請で取得しました。

 

現代では「登記事項証明書」というらしいです。

 

登記事項証明書のオンライン申請は、ソフトをインストールしなきゃいけない登記申請と違って、ブラウザ上で申請ができました。

しかも、身分証明なども不要なためマイナンバーカードを使ったりも電子署名をしたりもせず、とても簡単。

郵送受取を選択すれば完全オンラインで完了です。

しかし窓口受取の場合は法務局の出張所での受け取りも可能だったため、近くの出張所を指定し窓口受取にしました。

 

ちなみに手数料は、郵送だと500円、窓口受取だと480円とちょっとだけお得です!

 

無事に登記事項証明書を受け取り内容を確認すると、ちゃんと自分の名前が取締役の欄に書いてある…!!ここで初めて変更登記がうまくいったことを実感しました…!!

 

 

【ひとりで変更登記をやってみて】

 

最初はほんっっとうに知識ゼロで自分でできるか不安でしたが、案ずるより産むが易し的な感じでやってみるとなんやかんやできました!!!

そこそこ大きな会社で役員さんがたくさんいたり、株主さんがたくさんいたりという会社は司法書士さんに依頼されるのがいいと思いますが、小規模な会社であればその依頼する費用をケチって自分でやるのは大いにアリじゃないかと思いました。

ただし、小規模であればあるほどそれにかかる時間が惜しい場合もあると思います。

やはり事業の規模だけではなく、そこにかける手間や時間も考えて、自分でやるのか司法書士さんに依頼するのかを決めるべきだと思いました。

 

自分で変更登記をするデメリットは、時間がかかること。実際に一から調べて自分で理解し実践するのはかなり時間を使った気がします。

 

メリットは、もちろん費用が浮くこと。オンライン申請であれば法務局へ出向くための交通費なども削減できたことになります。

 

会社の実情に合わせるべきではあると思いますが、もしも同じように自分で変更登記をしようとしている方がいたら、その参考になれば幸いです。