一年前の3月初めは、やっと決心して小学校に転校する旨を連絡した。

 

娘の雛人形をしまってあるクローゼットの上の段ボールを眺めては

悲しい気持ちになったけれど、夫の目も気になったし

引っ越しの荷物もまとめ始めていたので

雛人形は飾れなかった。

 

引越し業者は使わず宅急便で済ませたことや

ごちゃごちゃの実家では飾るところもないので

大きな段ボールにそれぞれ入った

娘の雛人形も、息子のかぶとも、4人で暮らしていた家に置いてきてしまった。

 

お内裏様とお雛様の二人しかいないけれど

ガラスケースのものではなく、後ろにたてる屏風の月の絵がとてもきれいで

私が気に入って選んだものだった。

 

この、アパートになら飾れたのに。

一回目の調停の時に、送ってもらうように

調停員を通じて言えばよかったのかもしれないと後悔した。

 

雛人形もかぶとも、飾るのは一階のリビングだったけれど

二階のクローゼットの棚の上から箱の上げ下ろしも

一度も夫が手伝ってくれたことはない。

 

 

あの大きな箱を夫が動いて二階の部屋のクローゼットの上から降ろし

宅急便を依頼して…という姿を考えると想像もつかなかったし

一度も手伝ってくれたこともない作業を

調停になって、はじめてそんなことをするのかと思うと、

考えるだけで嫌な気持ちになった。

 

 

雛人形とかぶとをしまっていたクローゼットは

ポール部分は全部私の服をしまっていたところだから

引っ越した時点ですべて空になっていて

箱だけが上の棚に残されていた。

 

 

夫は娘のことはかわいく思っていたから

それだけがクローゼットに残されている雛人形のことは

夫もきっと分かっていると思う。

 

 

飾るところがなくても、箱が邪魔でも持ってくればよかった。

母から「もう、無理。自転車も車も持ってこないで」と嫌そうに言われたから

その時の私は、出戻って迷惑をかけるという後ろめたさもあって

母が賛成してくれない、後押ししてくれないという理由で

あれこれあきらめてしまい

雛人形もかぶとも、聞く前にあきらめてしまった。

 

 

次の調停の時は、両方とも送ってもらうよう

調停員経由で頼もう。

 

アパートにいることも知られたくないから

営業所止めにしてもらう。

 

 

娘に、「お雛様出せなくてごめんね」と言うと

2年続けて見ていないし、小学校では雛祭りの工作も歌もないから

もう全く気にしていないようで

 

「そうだっけ?」というくらいだった。

 

すごくきれいなやつだから、来年は飾ろうね、というと

「うん」と嬉しそうにうなづいていた。