4人で住んでいたころ、週末には近くのショッピングモールにちょくちょく行った。

歩き疲れて、フードコートではない、併設のカフェに入った時。

 

娘は、ショーケースからケーキを選んだ。

食べたいケーキがなかった息子は

レジ近くに置いてあったマドレーヌを選んだ。

 

 

 

 

夫は甘いものは好きだけれど

好きそうなケーキもなく、大人二人は飲み物だけにした。

 

4つの飲み物とお菓子がお皿に乗って揃い、トレーをテーブルに運んだ。

息子は嬉しそうに

「これ、僕の」とマドレーヌを手に取った。

 

すると、それが夫の気にさわった。

 

「お前だけのじゃない」と息子に向かって言い

一気に緊張感が走った。

 

確かに、少し食べる?とか周りに気を使えたらいいけれど

たいした大きさもないマドレーヌを

息子が「僕の」と言っただけで、そこまで気に障るものだろうか?

 

また、「俺の金で買った」と思っているのだろうか。

 

息子は下を向いてマドレーヌをトレーに置いた。

夫は袋をあけて半分に割り、半分を息子に返し残りは自分の口にいれた。

 

下を向いて残りを静かに食べる息子。

 

 

そして、夫はハッキリと何がいけなかったのかを言わないので

 

 

「お父さんのお金で買ったから感謝しなくてはいけなかった?」

「人に分けようとしなかったから?」

「なんでお父さんはそんなに怒ったの?」

 

 

動揺と混乱を招く。

 

 

家での食事も、外食でも、出先のカフェでも。

いつもこんな様子で、手放しで楽しめることがない。