実家には実の兄（独身）が住んでいる。
一度も実家を離れたことがない。
仕事はコロナ以降、完全在宅になったらしく
ぼさぼさの髪とスウェットで過ごしている。
私と子供二人が実家に転がり込んだのは確かだし
先に住み着いていたのは兄だけれど（というか離れたことがないから）
だいぶ私たち３人にペースを乱されたと苛立っているようだった。
2階に3部屋あるうちの、兄は一番奥の15畳くらいある一番いい部屋を子供の時から使っている。
煙草も吸っている。
物が散乱した、はっきりいって汚部屋だと思う。
パソコンもテレビもある。
それなのに、子供たちがリビングで宿題をしているから
テレビが見られない、などと言う。
私たち３人は昔私が使っていた
6.5畳のテレビもない部屋に寝ている。
子供の時、女で一番年下だからと言う理由で
一番小さい和室になった。
子供の時にはなかったが、
今回帰ってくると、母の着物用の大きな桐たんすが置かれていて
更に狭い中、3人でいる。
兄は、在宅ワークという事もあり、話し相手がいないせいか
リビングに降りてくるとひたすらしゃべり続ける。
私が母に何か質問すると、すかさず兄が答える。
テレビにいちいち反応する。
子供が「お母さん、これ食べていい？」と私に聞くと
私より先にすかさず「いいぞ」
もしくは「もう飯だろ」などと勝手に答える。
父は相談役になったものの会社を経営しているので
週4回出勤して仕事をしていて、収入もきちんとある。
兄の世話になっているわけではない。
それでも兄は両親にも偉そうにしている。
母は兄から食費？はもらっていると言っていたが（当たり前すぎる）
家のことや洗濯物はもちろん兄は何もしないし
ただ、独り身で仕事をしているだけ、なのに
「俺は朝から晩まで仕事がある」と謎のプライドを持っている。
私に対して、子供たちに対して、まるで馬鹿にしたような態度をとってくる。
そもそも、言葉使いが汚い。
「お前は〇〇だから 〇〇するんじゃねーぞ」
子供が食べっぱなしをしていたら
「おい、お前ふざけんなよ。片付けろよ」
子供がちょっと騒いでいたら
「うるせえなぁ」
せっかく夫と離れて引越してきたのに
入ってくる言葉にいちいち胸がざわざわし、
兄の事自体は怖くもなんともないが
その言葉たちに胸が苦しくなり恐怖感がよみがえる。
一度、娘が癇癪を起したかのように駄々をこねて
リビングで泣いたことがあった。
引越し・転校などのストレスもあったと思う。
こうなると、𠮟りつけても、なだめてもダメな時があり
私は穏やかに話しを聞きだしたり、
落ち着くのを待ったりしなければならないこともある。
子供とのやりとりは、母親の私であってもイライラすることだってしょっちゅうある。
兄は仕事中ではなかったけれど
「うるせーな、いい加減にどうにかしろよ！」と言った。
「うるせーなとか、そういう言い方やめてよ」と言い返した途端
ものすごい勢いでアレコレと反撃された。
私は手が震えだしてしまい
「言いたいことがあるのはいいけど、そういう言い方をされる筋合いはない」と言った。
リビングで言い合いになったので
兄が「お前、話しがあるからこっちに来い！」と怒鳴った。
私は「お前とか、来いとか、そういうのがもうおかしい」と言うと
「じゃあ、き・て・く・だ・さ・い！」と嫌味たっぷりに返してきた。
親としての私を尊重せず子供に先に勝手に答えるのをやめてほしい。
お前だの、うるせえだの、そういう言葉遣いをやめてほしい。
など、伝えた。
兄は
「俺はいつでもお前を尊重しているのがわからないか」
「お前とかうるせーなとか、そういうのは今後一切やめます」
「子供たちの様子を見ていると、何もしつけされていないように見える」
「引っ越してくる前のお前の子育てはうまくいってなかったんだろうなと思っている」
「俺が〇〇（息子）の年齢だった時と比べると俺はあんなじゃなかった」
「お前が東京に戻ってきたメリットは自由時間が増えたこと」
「俺は一日中仕事をしている」
「東京にきて、お前は〇〇君（夫）から離れられたり
自由時間が出来たかもしれないが、
子供たちにとってのメリットはないんじゃないか」
などなど、書ききれない。
モラハラから逃げるために、子供が転校しなければならなかったことは
私もかわいそうだったと思っている。
でも、これからの幸せのために必要だった。
さんざん一方的なことを言われた。
ああしろ、こうしろ、これはやるなと言われ
私の必死でやってきたこれまでの生活を、子育てを、否定した。
子供について勝手な事を言われるのが一番悔しくてつらかった。
教科書通りの子育てをして その通りに子供が育ったら
どんなに手がかからずに楽だろうとは思う。
おとなしい子＝いい子 という考えはまだまだ世の中にはびこっているし
やんちゃな息子、甘えん坊の娘は、おとなしい子ではないので
母からも兄からも「わがまま」と片付けられたりもする。
子供もいないくせに。
結婚したこともないくせに。
この家の主でもないくせに。
自分の部屋はぐちゃぐちゃなくせに、子供がちょっと散らかしたらすぐに指摘する。
どの立場で私にそんな事をいってくるんだろう。
お互い大人になった今、私とあなたの違いは年齢だけ。
と、私の頭の中に浮かび上がる言葉を飲み込む。
兄は私がいないところで、母にも私の悪口を吹き込んでいるだろう。
母は、賛同はしなくても否定はしない。
兄の行動をとめることもしない。
かわいいんだろう。
兄は「出て行けとはいわないが、このままでは一緒に住めないと思っている」と言った。
「俺が我慢できなくて出ていくのか、知らないけど」などと言った。
こんなにぬくぬく暮らしていて、これまで出ようとしたこともない人が
出ていくわけないじゃない、と思って聞いていた。
兄の家ではないのに、出て行けと言われる筋合いもない。
ここは、私の実家でもあるんです。
両親がまずはここに戻っておいでと言ったんです。
あなたの家ではないんです。
私が「そもそも、ここに一生いようなんて思っていない」と言うと
一度も家を出たことのない兄は、一瞬「えっ」という顔をした。
話し合い？の場は、１時間過ぎたあたりで
「じゃあ、こんなところかな」と、また兄ぶった言葉を言った。
兄は
「汚い言葉（お前という呼び方も含めて）を使わない」
みたいなことを言っていたが、どうでもいい。
もう、嫌悪感しか残らず
この人も仕事をしていれば一番偉いと思っているモラハラ男だと思った。
結局、私たち3人は実家から歩いてすぐの
築年数は古いものの、各自個室がもてるかわいいアパートが見つかって、実家を出る事となった。
本当はもう少し実家にいてお金も貯めたかったけれど、ストレスいっぱいで肩身の狭い思いをするのは私も嫌だし、
あんな言葉使いで物を言われるのは子供にも悪影響に決まっている。
アパートを決めた時、両親には今後もお世話になるのできちんと話しはしたが
兄には何も言わなかった。
今でも実家とアパートを行き来しているので
兄とも顔をしょっちゅう合わせるが、向こうも何も言ってこないし、
私は私の気持ちに従って生きていくと決めたことを
ひとつひとつ現実にしていくだけだと思った。