私が東京を離れている間

父が母の日に花束を買ってきたことがあったらしい。

 

古い人だし、亭主関白を絵にかいたような人なので

珍しいことだったと思う。

 

母はその時の事を

 

「お父さんたら、仏壇にあげるような花を買ってきて。

『こんな花いらない』って言ったら、

誰かにくれてやれって怒って

外に放り投げたのよ」

 

と言った。

 

また、父が気に入っている会社近くの洋食屋さんへ

母を連れて行った時のことを

 

「オムライスが、とろとろの卵じゃなかったの。

 『がっかりだわ』って言ったら怒ったのよね」

 

と言った。

 

普段、私と兄は気が合わないけれど

この時は「普通、そんな事言われたら気を悪くするものだ」と意見が一致した。

 

 

またある時、父がよく行く飲み屋へ母を連れて行った際の事を

「マグロのお刺身が色が黒っぽくて。カツオみたいで気持ち悪くて

 食べられないって言ったら怒って・・・」と言った。

 

 

母のそういうところが本当に理解できない。

「気に入ってるお店に連れてってもらって

 がっかりなんてよく言えるね」と言うと


母は「だって本当だから」と言う。

 

 

なので、私は母を私の気に入りの場所には連れて行きたくないし

何もプレゼントをあげようという気になれない。

 

『気持ちが嬉しい』がないらしい。

 

 

先日、ショッピングモールで買い物をして

ランチをする時に私はパスタがよかったけれど

 

 

「パスタがいいけど、おいしくなかったとか言われたくないから

お母さんの好きなもの食べよう」と言った。

 

 

「いいよ、パスタで」と言われ結局パスタ屋に入ったけれど

自分で頼んだパスタを」1/2くらいどうにか食べ

「もうお母さんはいらないわ」と言った。

 

 

私は、黙っていた。

一緒にいて楽しくない人だ、と思う。