結婚して夫と一緒に住み始めたとき
夫は紙煙草を吸っていて
それは付き合っている時から知っていたけれど
一緒に住むことになったアパートでも
あちこち好きなところで煙草を吸って
吸い殻も灰皿に置きっぱなしだった。
灰皿をきれいにするのは私。
放っておくと山積みになって匂いがするし
夫が捨てる時は、部屋にあるごみ箱に灰皿をひっくり返し
ゴミ箱のごみを集めるのは結局わたしだった。
「洗濯物にも部屋にも匂いが付くから、吸う場所を決めてもらってもいい?」と言うと
しばらく黙ってテレビを見ていた夫は
「吸う場所を決めたり止めるくらいなら、Chiiがいらない。」
と言った。
夫の実家の両親も、結婚のあいさつに言ったときに
初めて会う私の前で、リビングでもキッチンでも煙草を吸っていた。
夫は一人暮らしの部屋でも煙草を吸っていた。
煙草を吸いたいのは自由だけれど。
環境が違うから、やりたいことが違うから、仕方ないの?
お前がいらないなんて人から言われたのは初めてだ。
涙が出たけれど言い返す事が出来なかった。
翌日、会社で一緒にランチをした45歳くらいの男性の上司に愚痴を言うと
「男なんて意地を張るから。今に見てろって思ってればいいよ」と言われ
そんなものなのか、と腑に落ちないまま数日過ごした。
夫は数日後に空気清浄機を注文していた。
空気清浄機をつけて
ソファーで、リビングで、ダイニングで、PC机で
煙草を吸うのは相変わらずのまま。
「Chiiがいらない」って言ったことに対しては?
洗面所で泣いていたのを知っていると思う。
けんかになって後で謝ったりすると
謝るくらいなら最初から言うんじゃねーよ。と言われたことも何回もある。
夫が私にあやまるなんてありえない。
今まで夫からまともに謝られたことは一度もない。
空気清浄機を買ったことで、きっと、
私にいいことをしてやったと思っている。