「このまま帰りなさい」と言われた私は

手も足もガクガクとして

泣きながら実家の母に電話をかけた。

 

「こういうわけで、いけなくなった。」と伝えると

母は気丈に「わかった。じゃあ気を付けて帰ってね」と言った。

 

アパートに戻るまでに途中下車をして

駅のベンチで1時間くらい泣いた。

 

その間に父からメールが届き

 

「お母さんが珍しく泣いていた。

 あんなに泣いたのは結婚してから初めて見た」と書いてあった。

 

 

それを見た途端、人目もはばからず嗚咽してしまった。

元旦から駅のベンチで嗚咽している女の人。

奇妙だっただろうと思う。

 

母への複雑な思い、義両親と夫への嫌悪感。

 

アパートに戻り

今度は夫に気を使って「行くのやめた」と言ってしまった。

駅で時間潰してたんだよ、と。

 

夫を怒らせないように。

 

一日中、私を待ってくれていたおばあちゃんの事、

母の涙の事が頭から離れなかった。

 

義母の「がんばろうね」の言葉の意味。

 

これからひどいことを言われると知っているのに黙認していたのだと思った。

 

とんでもないところにきてしまっているのに

私はまだどうしたらいいのかを知らなった。

 

その時に逃げる事ってできたのかな?

自分の気持ちを、自分を大事にしていたら、

もっと早く逃げ出していたのかな?

 

自分さえ我慢すれば。が染みついていたのだと思う。

結婚したら夫と、相手の家の言うことを聞かないといけないと思っていた。

 

それが結婚だと思っていた。それがいい嫁だと思っていた。

 

いい嫁である必要なんかまったくなかったのに。