『ゴメンネ、ユウチャン、』
半分べそをかいた男性が、許しを乞う。私の愛称を繰り返し口にしながら。

そんな気だるい夢だった。ふと目が覚めると、私の隣で寝息をたてている男の腕に、頭をのせて寝ている事に気付く。やけに寄り添いたくなって、彼の胸に頭をすりよせると、心臓の音が聞こえ、また安心して眠る。

『おはよう』
彼は屈託のない顔で私に笑いかけた。
私にはすぎた男だ、とその笑顔を見る度に思う。
『コーヒー、入れたから、』
そう言って、私より先に目を覚ました男は、私にコーヒーを差し出した。
香ばしい、独特の豆の匂いがする。
『ありがとう。』
彼は私がアメリカンでブラックが好きだと知っているし、必要な時はいつだって抱いてくれるし、キスもしてくれた。

できた男だ。優しいし、顔だって悪くない。いい男だ。

私たちは、ゆるやかな時の中で、荒波が立つ事もなく、同じ時を共有して自然と一緒に住んでいる。

ただ、一つ、贅沢な事を言ってしまったら、全てが完璧すぎて、そこに恐怖感を感じる。
彼は、いつだって優しいのだ。私が不満を言えば、必ず直す。ゴメンネ、と言って私を抱く。私好みの男になりそこに自己はない。