子どもの頃、あの頃では珍しく母が産休明けから仕事復帰したので、その間、母方の祖父母と同居して育ててもらっていた。

4歳すぎくらいまでだろうか。


その頃の思い出といえば、じじばばと近くのお店に行き、おやつを一つ買ってもらう。

家に帰ったら食べていいよ!と言われているので、走る私とそれを足が悪いばあちゃんが追いかける。

そして必ず言う。

堪えてくれー◯◯ちゃん!と。

呼ばれてばあちゃんのところまで戻り、また家に向かって走る。ばあちゃんの声。戻る。の繰り返し。じいちゃんはずっと一定の速さで荷物を持ってそばを歩いていた。


祖母はリュウマチを患い、手足が曲がり痛そうだった。それ以前に手の指が4本しかなかった。

元々指がくっついて生まれてきたそうで、赤ちゃんの時に大学病院で手術して指を切り離して4本にしたそうだ。いろいろ不自由もあっただろうが、私たちの世話を4本指の曲がった手で普通にこなしていた。


その頃よく買ってもらったお菓子は今もあるがコロン。

周りのサクサクしたクッキーを先に食べて全部クリームだけにして、汚い!と祖母に怒られながら食べたのを覚えている。

今も大袋パックを買う。さすがにクリームだけを残す食べ方はしないので、今ならばあちゃんに怒られないはずだ。空の上からに見てるかな。


もう一つ。思い出のお菓子。

こちらはいつも買ってもらえた訳では無いが、ルマンド。

じじばばとの同居は私が保育園に入る年になり解消され、我が家は社宅に引っ越した。

小学生の頃、ルマンドを食べる時の我が家にはルールがあった。

必ずベランダの外に向いて食べる!

なので、弟と2人でベランダの窓の敷居に腰掛けて外を見ながら食べた。

ルマンドを持つと母に「ハイ!そこに座って!」とベランダを開けられる。他のお菓子はそんな案内はないが、ルマンドの時だけ。

どんだけこぼしていたのか記憶にないが、よほどポロポロこぼしながら食べていたのだろう。


こないだ、ルマンドを先に袋の中で崩してフレークにして牛乳をかけて食べるのを紹介しているのを見つけて嬉しくなった。

あの頃のベランダに姉弟を座らせていた母に教えてあげたい。

でも、鳩の鳴き声を聞きながら外を眺めて食べるルマンドも、美味しい子どもの頃の思い出になっているので私は気に入っている。

思い出のお菓子を食べると祖母や母の顔を思い出す。