突然エレナから電話がかかってきました。

近頃のエベンナは会議で上の空、

それによく1人で外でボーッとしていると言います。


彼女は普段から感情を見せない人です。


もし何かあって、1人で思い悩んでいたらと

エレナは心配しているようでした。



さっそくエベンナに電話をしてみるとすぐに出てくれましたが、機嫌が悪い様子。


「友達が気になるだけ」という口実で居場所を尋ねると

ブラックチャペルにいることが分かりました。


とりあえず行ってみることに。



エベンナはボーッとなにかを考えているようでした。

「未知が恐怖を生む、という言葉がある。

もしも自分が死ぬ時が分かっていれば、何も恐れることはなくなる。

きっと今まで試したことのないことを、勇気を出してやり遂げるだろう。」


死ぬ時……?

何の話だか分かりませんが、エベンナにはやりたいことがあるようでした。


「……いつも上司に言われるんだ。

私が仏頂面をしているから、部下たちに怖がられるのだと。


長官として、威厳があるだけではだめだ……時には人間味も必要となる……


だから彼らに何かをしてやりたいんだが、何かいい案はないか?」



予想外のことを言われてびっくりしましたが、

私は手料理を振る舞うことを提案してみました。


新鮮な野イチゴ、賞味期限切間近のマグロの缶詰、真空パック野菜を収集し

エデンシティ避難所へ。


エベンナはトーキングパブのキッチンで準備を済ませていました。(連盟パワーw)



ところで彼女は料理をしたことがあるのでしょうか?

一気に不安になってきました……昇天



私の心配をよそに、彼女は連盟の兵士たちに食べさせたいとやる気に満ちた様子で料理を始めました。



ひたすら作り終わるのを見守ります……。



ようやく完成したようです。



きっと見た目より大事なのは、味と真心です。

料理が温かいうちに

付近の兵士に渡しに行くことにしました。



長官からの差し入れだと話すと

自分は何かミスをしたのかと慌て出す兵士。


ただ労いたいという彼女の気持ちを伝え、食べてもらいました。

あちゃ〜……




もう1人の兵士にも食べてもらいましたが


最悪の展開です魂が抜ける




(気まずすぎる)


と、彼女は突然

ケプラー港で海を見に行こうと言い出すのです。


「ここは焦げ臭い。」


誰のせいですかwwww




海の前で、エベンナはまた何かを考えているようでした。

「翡翠湾で泳ぐのが夢なんだ。誰も私の身体の傷を気にしない。

泳いでいる時だけ、自分は自由だと感じられるんだ……」


話しながら上着を脱いだかと思うと



バシャーーーン!!!



大きな水飛沫と共に、彼女は海に飛び込みました。


あっけにとられる私。


どうしたらいいのか分からず、岸辺で彼女が泳ぎ終わるのを待つことしかできませんでした。



しばらく泳いだ後、彼女は少しスッキリした顔で戻ってきました。


こんなに大胆なことをするなんて、一体何があったのか?


詳しいことは話したくないと言うエベンナ。

「だが限りある時間の中で、自分が本当にやりたいことをやろうと思ったんだ。」


次は叫びの砂漠の星空を見に行くようです。



2人で並び満点の夜空を眺めていると、

エベンナは私の方を向いて尋ねました。


「私はどんな風に見える?」


クールで、人を寄せ付けないけど、強い人。



するとエベンナは自分のことを話し始めたのです。

「多くの場面で絶対的な理性を保ち続けることを要求されてきたおかげで、

人と人の間で育まれる感情もなかなか理解できない。


だがあなたとたくさんの冒険をしてきて、絆というものの意味が分かった気がするよ。」



本当に今日のエベンナはいつもと違います。

もう一度どうしたのか尋ねると



!!!



エベンナが……重病……




自分に残された時間が少ないと理解した彼女は

今までと違う人生を体験したいと考えていたのでした。



エレナが最近エベンナの様子がおかしいと感じていたのも

今日の彼女の意味不明な行動も

全部そのせいだったのです。



「付き合ってくれるだろう?」


エベンナは、少し寂しそうな目で私にそう言いました。




私は……





言葉を選んでいると、彼女に電話がかかってきたようです。




「……ああ。


うむ、うむ、よし、わかった。


相応の処分などは帰還後に追って沙汰する。」




電話を終えたエベンナは、なにやらぎこちない表情をしています。


何の要件だったのでしょうか?



おぉぉぉぉおいwwwww



私の悲しみを返せと言いたいところですが

問題が無かったことで一安心。


さっきの話も聞かなかったことにしましょう。



エベンナは相変わらずクールな表情で言いました。


「今回はとんだお騒がせだったが、

もしも本当に私の命が幾ばくも無いとしたら……」




嬉しいこと言ってくれますねニコニコ






でもやっぱり、

その診断報告書を送ったスタッフには一度、面を貸してもらいたいところです……昇天