◆耳に残る言いまつがい
飲食店でバイトをしていると、ときどきお客様の楽しいおしゃべりが耳に入ってきます。
奥様たちが賑やかに語らう子どもの話だとか、サラリーマンがお疲れ気味にぼそぼそと交わす仕事の話だとか。
そういうお話のなかには思わずブハ!!!!っと吹き出してしまいそうになるオモローなネタがひょっこり潜んでいたりします。
そしてつい先日、こんな【言いまつがい】が聞こえてきました。
自分とそう変わらないと思われる年格好の奥様三人組。
会話の内容は、どうやらどこかの会社の問い合わせ番号へ電話したときの様子みたいです。
三人の声が途切れることなく弾むおしゃべりは続き、ひとりの奥様が放った耳に残るこの一言。
「まず自動音声か、オペレッタに繋ぐか聞かれるのよ」
ん?
「オペレッタに繋いでもらってね、」
ん??
「オペレッタが、」
オペレッタ????
電話の向こうで案内係さんたちが歌い踊り始めてます。
それはもう華麗な踊りと優美な歌声で。
あとのふたりの奥様はなんのツッコミも入れません。
お茶の入ったポットを片手にあちこちのテーブルを回りながら、自分の耳はダンボのように大きくなっていきます。
どこまでもオペレッタ。
誰もつっこまないからポットを持ってない方の手でツッコミに行きそうなくらいオペレッタ。
ひとしきり話し終えると、何事もなかったかのように新しい話題へと会話は弾んでいきました。
オペレッタの残響を漂わせたまま…。