◆犬とおばちゃん
実家の犬が死にました。
15才でした。
人間だと、もう高齢のおばあちゃん犬です。![]()
15年前のお正月、いつものように祖父の家で親戚たちが集まった
ときに、叔父が子犬だったこの子を連れてきました。
海岸に捨てられていたという2匹の真っ白な子犬の1匹を、
絶対かわいがります、お世話しますと父に約束して引き取りました。
結局、お世話したのもかわいがったのも父でした。
小さかったこの子はすくすく育ち、予想をはるかに超えた大きな
体になりました。
しかもその大きな体ごと体当たりで嬉しい楽しいと表現するので、
幼い頃の体験が原因で大きな犬には近づけない自分にはもう
撫でてあげることさえできなくなっていました。
父に誓った言葉を、破ってしまいました。
命の重さも命の儚さも、ペットは教えてくれます。
今うちにいる猫は4才です。
あと何年、そばにいてくれるでしょう。
あと何年、そばにいてあげられるでしょう。
勝手な話ですが、実家の子に注げなかった愛情を今はうちの
猫に注いでいます。
どうしても克服できない大きな犬への恐怖心なんてものは、
実家の子に理解できるわけがありませんでした。
近寄れないまま別れのときを迎えてしまったことがとても悔しい
ですけれど、それでもやっぱりゴメンネとしか言えない臆病な
自分が今もここにいます。
父と母の愛情でおそらく充分幸せだったと思いますが、心に残る
わだかまり、罪悪感は一生消えることがないでしょう。
人との別れよりも、別れの言葉を交わせない動物との別れの
ほうが諦めきれない気持ちを引きずってしまうものなんですね。
父は、もう犬は飼わないと言っているようです。
父の年齢を考えればそのほうがいいだろうと思います。
今度実家へ帰ったときには、もうあの子はいないんだなぁ。