▲夕空ドライブ | 354480時間の夢

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大きく輝きを放つ夕陽が、遠くの山へゆっくりと吸い込まれていく。

街を南北に走る国道は帰宅ラッシュが始まりつつあるのか、車間が

ぎりぎりの状況で車の数が徐々に増えてきていた。

すでにスモールライトを灯す車も何台か見かける。

私はこの時間が好きだ。

夕暮れの濃淡の中に滲み込んでいく景色と街のそこかしこに灯り始

める電灯の明かりが、センチメンタルな匂いを運んでくるような気がす

るから。

今日は彼の車で久しぶりのドライブ・デートだった。

互いに音楽を聴くよりラジオでいろんな話題にちゃちゃを入れるのが

好きなので、今もラジオを聴きながらジャズのしっとりとした演奏に耳

を傾けている。

彼も疲れてきたのだろう、何も語ろうとはしなかった。





運転席の彼が慣れた手つきでヘッド・ライトを点ける。

あっというまに太陽は山の向こうだ。

車窓から見える景色はいよいよ濃くなり、その窓はぼんやりとした私

の輪郭を映し出す。

長時間のドライブで私も少し疲れたのか、表情に張りがない。

彼に気づかれないよう、気を引き締めて目に力を込めてみた。

そのとき彼が私の名を呼んだ。

今の顔を見られたかと思うと恥ずかしくて、いつもよりトーンの高い声

で返事をすると、彼はこちらを見もせずに左斜め前方に視線を置い

たまま、ほらあれ、と口角を上げた。



彼の視線の先には、キラキラ輝く無数の灯り。

透明で真っ直ぐに光を放っているような、純粋な魂の光のようなそれ

は、いくつものコンビナートの灯りだった。

窓を開けるとかすかに潮の香りがする。

輝く光の群れはしばらく続き、キレイだねと彼を見るとやはり視線は

前方に向けたままで、うんホントにね、と笑っていた。

よそ見をしないでしっかりとハンドルを握ってくれている彼。

ちゃんと見られたのだろうか。

あの美しい光景を。

私だけが呑気に魅入っていたのなら、なんだか彼に申し訳ない気が

した。

彼の表情越しの空は、西の山に濃紺から薄いオレンジの色を残し、

真っ暗な夜の気配に覆われつつある。

ちゃんと見た?と尋ねると、うん、見たよ、と満足そうな笑みを浮かべ

る。

本当だろうかといぶかしく思っていると、嬉しそうな顔してたよな、と

今度は私の目を見て笑った。








っていうデートがしてみたい。にひひ