▼乙女が宙を舞う
中学生時代の話。
通っていた中学校は小高い丘の上にありまして、行きはかなりきつ目の
上り坂となって坂の下方面から通う生徒はヘヴィな朝を余儀なくされて
いました。
そのかわり帰るときには自転車通学なら一気に下れるナイスな坂です。
自分は入学当時わずかに距離が足らず約2キロの道のりを歩いて通う
可憐な女学生で、行きも帰りもこの坂に泣かされてました。
ある日の帰宅時間、この坂をいつものようにえっちらおっちらフラフラに
なりながら(中1の学生カバンはバカ正直に教科書をすべて持って帰る
ためにパンパンで激重なのです)下っていると、後ろから何やら大声で
話す人の声と耳障りな自転車のブレーキ音がしました。
何事よ?と振り返ると同時にドギャン!と体が吹っ飛び、そのあとなぜか
吹っ飛び第2波がドギャン!とやってきました。
合計2台の自転車に轢かれてました。
しかも相手は双子。
ワザとか?! こいつらワザとなのかー?!
特別仲がよかったわけではありませんが、この双子がいじめっ子でも
憎まれっ子でもないことはよくわかっていましたから、一瞬よぎった疑念は
とりあえず置いておいてむくっと立ち上がり、「だ、だいじょうぶだからー」と
引きつった笑いを浮かべました。
その言葉は、止まらずに走り去っていく双子の後ろ姿にかけられた虚しい
負け惜しみのようにも響きました。
やっぱ、ワザとかもしれん。
夏休みが開けると、近所の親たちが学校にかけあってくれたのか自転車
通学が許可されました。
いつかあの双子を自転車ごと轢いてやろうとそのとき思ったりは、
してませんでしたよ、ええもちろん。