その手を離さない | 354480時間の夢

その手を離さない



とあるスーパーでの出来事。



とっぷりと日の暮れた世間のお夕飯時間帯に、家から少し離れた

スーパーへ買い物に行きました。


スッピンでジャージーズボンにナイロンジャケットという、田舎の

おばちゃんにありがちな出で立ちで店内に入りお目当ての

冷凍食品コーナーへ。

この日は美味しい冷凍チャーハンがいつもより100円ほど

お安かったのです。

お目当てチャーハンと十勝ヨーグルト4個パックをカゴに入れ、

颯爽とレジへ向かいました。

数カ所あるレジですがこの時間帯だというのにこの店は2つほどしか

稼働させてません。ま、田舎なので。

若いお兄さんが立つ、誰も並んでいない一番近いレジへカゴを置き

お会計が始まりました。

おつりを受け取る段階になり、あまりにも突然に、一瞬頭が真っ白に

なるような出来事が起こったのです。


レジのお兄さん、おつりを受け取ろうと出したわたしの左手を

「もう離さない」とばかりにぎゅうっと握り、もう一方の手で釣り銭を

わたしの左手の上にむぎゅうっと押しつけたのです。


パニックです。目が点です。ドンッ


お兄さんの両手に掴まれていたその時間はわずか2秒ほどだと

思うのですが、自分には猛烈に長い長い時間に思えました。


それなのに。

何事もなかったかのように平然とお礼を言い(レジでありがとうは

欠かしません)何事もなかったかのようにエコバッグへチャーハンと

十勝ヨーグルトを入れ、何事もなかったかのようにこれまた颯爽と

店を後にしたのでした。



家に帰り着くまでは左手の指先をハンドルに添えたものの、

ほぼ右手だけの片手運転です。

夜は目がよく見えないのに、この時ばかりはハンドルをしっかり

握りしめることができませんでした。

もう左手をどこにも触れさせたくなかったんです。


運転しているあいだ、この出来事を思い出しては怖気が走り、

何事か叫んで正気を保っていました。

よくレジで倒れなかったなと思います。


じつは軽く潔癖性です。

電車のつり革やエスカレーターの手すりが持てません。

そんな自分にこんな試練が訪れるなんて。

神様のいじわる。


やっとの思いで車庫入れし、辿り着いた家のキッチンで何度も

必死に手を洗いました。



レジのお兄さん、お客の手を両手で握りしめて釣り銭を渡すのが

その店での当たり前なんですか。

今まで一度もそんな渡され方されたことございませんけれど…。

いくらちびっ子だからって小学生に見えるほど若くはないですから

子供に間違われたとは思えないし思いたくないです。

アラフォーだし。


謎です。



次回からはおねえちゃんのいるレジでお会計しようと心に誓った

晩秋の夜なのでした。