街中や駅の構内を歩くと必ずと言って良い程スマホ片手に黒革のショルダーバッグを肩に掛けたリクルートファッションに身を包んだ就職活動中の学生さんに出逢います。必死な顔をして、笑顔は無く、心に余裕を無くしている事が一目で分かる気がします。そしていつも思う事は、『何故、みんな同じ格好をして面接に向かうのだろう?』という疑問です。

 昨今は、就職活動中の若者達の為に面接時の格好や面接で答える内容に関するマニュアルセミナーが開かれている様です。周りの人と大きく違わない様にそのセミナーを聴いて対策する事は決して無駄では無いし、自分の中にあった間違った部分の修正には大変役立つと思います。でも、それを聴いた若者は、そのマニュアルに翻弄されているのではないでしょうか?内定を得たいが為に、本来自分が社会に出て何をしたいのか?一番大切な事を忘れてしまってはいないでしょうか?

 リクルートファッションに身を包んだ就職活動中の学生さん達は、そのマニュアル通りのファッションを取り揃えた洋服屋さんでマニュアル通りの洋服・バッグ・靴を取り揃えます。『これで安心!』と思っていませんか?時には『何社このスーツで回ったのかしら?』と思う程、スーツがくたびれ始め、スカートやズボンに座りジワが出てしまっている方にお会いする事も少なくありません。ご本人の体と心だけでなく、スーツまで疲れてしまっている様子がうかがえます。次の就職試験に向かう前に大きな鏡の前に立って自分自身を見直して見ませんか?

 『自分は、社会に出て何をしたかったのだろう?』『今の目標の立て方は間違ってはいないだろうか?』『今着ているスーツは、私という人間の個性を映し出しているだろうか?』きっと、答えはNOです。

貴方の今の姿を見た面接官は、前の方と後ろの方を区別して認識しているでしょうか?個性のないファッション、個性のない答え。それで落ちたからと言って貴方の個性が否定された訳ではありません。むしろ、個性が見えないからAさんでもBさんでも良いや。『今回は、Bにしておくか。』で選ばれたり、選ばれなかっただけです。それなら、自分の個性を出して負けてみませんか?自分が働きたい会社を選び、マニュアルの講義を踏まえた上で、『私の個性は何処で出そう。』と考えてから面接に向かって見ませんか?

黒のスーツ・黒のバッグ・みんなと同じ高さの黒のヒール、これでは個性など全く見えて来ません。第一、黒が全員に似合うはずはないのです。似合うから、赤を着ていけ!と言っているのではありません。面接の場に見合い、私の個性はどういう色が良いかを自分自身で考えるのです。『私がしたい仕事の出来る会社で、仕事を始める事が出来たら初日には何を着て行こう!』と夢膨らませて考えるのです。

 私なら、濃紺を選びます。ブラウスは、ちょっと値が張りますが、シルクのボーを選び、綺麗に蝶結びをして垂らします。ストッキングは、ワンポイントの付いた肌の色が綺麗に映る色を選び、私は背が低いので、靴は少しマニュアルより高めのヒールを選び、足元が軽く見える様にグレーかベイジュを選びます。もし、背が高かったら、逆に少し低めのローヒールを選び、『ここに雇って頂けたら、明日からでもこの服と靴でオフィスを走り回って働きます!』と意思表示します。面接官に『貴方は、人と違った格好ですね。』と聞かれたら、『この会社で是非働かせていただきたいので、自分の個性を十二分に表現出来る支度をして参りました。』と答えます。試験は、勝負です。自分自身が戦って、勝利を勝ち取るものです。マニュアル通りの服装や言葉では私は闘えないと思います。

 変人の突飛な考え方ですが、もし、ずーっと自分の個性で勝負しないでマニュアル通りに闘って来て負けが続いている人は、どうぞ一度鏡の前で自分の姿を見直し、もう一度闘いの場に付いてみてください。マニュアルを学んだ上で、『じゃあ、私は・・・』と考えてみて下さい。