「chi-hirariさん!」
女性の大きな声で名前を呼ばれて、肩を叩かれました。
その5秒前くらいから、夢を見ていたような気がする。ハッと目を開けました。…終わったんだ。
「終わりましたよ。大丈夫ですよ」
教授先生が横に立って声をかけてくれていました。スタッフの皆さんが口々に「お疲れ様でした」と言いながら、片付けをしていました。あー終わったんだ。良かった。
「口をイーッてしてみてください。麻痺は無いね」
術後は口元に痺れがあると予想していたけど、びっくりするくらい何も無い。さすが教授先生の腕は素晴らしいです。
そのあと違うベッドに移されて、手術室の外へ出されました。
ベッドでボーっとしていたら、教授先生が来て、摘出した腫瘍のスマホ写真を見せてくれました。
「こっちが顎下腺。右側が腫瘍です。
ご主人にも同じ説明してありますからね」
レバーみたいな赤黒い感じより、もっと赤い塊。でも思ったよりグロくなく、キレイな物でした。
首は少し痛いような、あまり痛くないような。首よりも奥歯が痛いような感じがします。でも痛みよりも、だんだん吐き気がしてきます。
「お部屋に帰りますね」
ベッドが動き出したら、もう酔いそう。ヤバい吐きそう。もっとゆっくり動かして〜。
途中の廊下に夫がいたけど、吐き気をこらえてギュッと目をつぶっていました。
「これからお着替えしますから、ご主人は外でお待ちください」「じゃあデイルームにいます」と言うやりとりが聞こえました。
部屋に戻り、看護師さんが薄い病衣を着せてくれて、オムツを当ててくれました。
他の方のブログでは、T字帯に導尿カテーテルという方が多かった気がするけど、この病院はオムツなんだそうです。前日に売店で購入するように言われていました。
(術中はどうなってたんだろう?麻酔してたら出ないんですか?)
「オシッコしたくなったら、オムツはしてるけど尿瓶を持って来ますから、ナースコールしてくださいね」
酸素マスクと点滴がつながっているので、身動きは取れません。
ここから3時間は安静にして、水はまだ飲めないそうです。
安静にも何も、気持ち悪くてどっちみち動くことなんかできない。吐いても良いように、口元に受け皿を置いてもらい、ひたすら寝ます。