生まれた処へ帰ってきた
生まれた処は育った処
なのだが「故郷」と表現してよいのかといつも悩む
このモヤモヤを辞書で調べてみた
故郷:生まれ育った土地
辞書通りに解釈すればやはり私の帰った処は故郷である
今回は去年やいつもと違うルートを選択
高速を使わずに山を走り峠を越える
途中小さな町に立ち寄りとある店を訪ねる
「あの・・・店長さんは居ますか?」
残念ながら不在
小さな菓子箱を預けると名を尋ねられた
名乗ってわかるであろうか?
訪ねたのは久々であった
「かっちゃんの・・・嫁です」
そう伝えて店を出た
更に車を走らせ隣合った小さな町へ
そこで初老の男性を訪ねやはり店に入る
彼は私をすぐには解らなかったが
名乗ると目を細めて微笑み
彼の思いつく全ての言葉で歓迎の意を表してくれた
彼は彼の近況を息もつかずに話してくれた
去年病気で倒れて数ヶ月入院したこと
今も通院はかかせないこと
孫が大きく育ったこと
息子や娘達が元気であること
次から次から話は止まることがなかった
ひと通り話すとまた同じ話を繰り返すのだった
私は笑って頷いていたがとうとう
「義父さんそろそろ行かないとお墓参りできなくなっちゃう」
と遮った
彼は渋々と話を止めたが思い出した様に
「千夜はどうしてるんだい?」
と訪ねてきた
私は相変わらず一人で夫も子供も居ないと
苦笑しながら簡単に話し立ち上がった