Photo「ある日の風景」
by すけ
私はとことん可愛気の無い女だった
だから嘘をついたカッツにも知らん振りだった
そんな意地が
彼を救ってはあげられなかった・・・
カッツはある日疲れきった顔をして現れた
そしてその日から
私の部屋に居るようになった
何もかも知ったであろう私に彼は身を委ねる
私はそれについて問うことも無かった
問わないことは彼にとって都合が良かった
だがそれは始めのうちだけであった
「何故何も聞かないの?」
彼はある日私に尋ねた
「自分で解ってしてる事だからよ」
私は彼に無表情に答えた
その言葉は彼を追い詰めた
『彼の人生がどうであろうと私には関係がない』
そんなふうにもとれる姿勢で接する私に
彼は強い寂しさを感じていたに違いなかった
誰かに心配してもらいたい
誰かに叱ってもらいたい
そんな気持ちは私にはよく理解できた
私にその『誰か』が居なかったからである
カッツの気持ちがよく理解できたから
むしろ最も堪える態度をとれたのだ
わたしは彼に嫉妬していたのかもしれない
仕事をしなくても見捨てることのない
心配してくれる両親や家族が
カッツには居ることに
実際羨ましかった
働かなくても何とかなると思っているカッツは甘えていると軽蔑していた
私は生きるだけで精一杯の生活を送ってきた事もあり
やっと安定した収入を得られ
わずかなお金を少しずつ貯めて万一の時に備えていた
それでも安堵感を得られなかった
そんな嫉妬感がカッツを執拗に追い詰めていた
そして彼の心は千切れた
カッツは夜勤に行く私におにぎりを握ってくれた
彼は料理などした事も無く
御飯さえ炊けないのだが
私が炊いた御飯を必死に握った
それは彼が部屋で懸命に見つけた愛情表現
出勤の支度をする私にカッツはおにぎりを渡す
「ありがとう」
私は彼に軽くキスをする
「・・・俺はなんでこんな所でおにぎりなんか握ってて・・・
千夜を送り出してるんだろう・・・」
彼は下をうつむき背中を丸めていた
「カッツ・・・」
彼の声は聞いたことも無いくらい
擦れていて
弱々しくて
辛そうだった
私はそんな彼を残し出勤しなければならなかったが
そんな彼を見て初めて
『解っているけどできない辛さ』を理解した気がした
彼は多分毎日駄目な自分を責めて生活していたが
弱さからどうすることもできなかったのであろう
・・・翌日カッツは部屋に居なかった
そして部屋から私の生活費も無くなっていた
『私は彼を壊してしまう・・・』
私は彼と別れる決意をした
彼もまた私にトドメを刺して欲しくてそんな事をしたのだろうと
・・・彼を解れた
おわり