『この人は私に嘘をついて・・・一体何を得たいのであろうか?』
私はその答えを必死に探した
答えを解るのに
あまりに時間がかかり過ぎた・・・
私は彼の嘘に嫌悪感を持っていた
それは過去の恋愛の経験の為であったかもれない
しかし恋愛中の相手からの嘘なんて
そんなに珍しいことでもなく
むしろ普通なのだろう
しかし私は執拗に嘘を嫌った
それはそれまでの人生の中で
信じられる人が居なかったからかもしれない
私はずっと自分の肉親さえも信じることができない生活をしてきた
だからパートナーには信頼を強く求めたのかもしれない
でもそれは今だから冷静に言えることであり
この時私は彼に非常に厳しかった
いや・・・厳しかった事にさえ気づいていなかった
だって・・・絶対の愛も信頼も無いという素振りで
冷めたふうに装っていたから
その時は本当にそう思っていた
だけど
「あるんだよ」って
誰かが言ってくれるのを内心ずっと待っていた
心のどこかで誰かが助けに来てくれるって思ってた
でも自分の全身に棘えを張り巡らせて
傷つくのを恐れていた
今思う当時の私の印象
なのに彼は裏切った
私は自分勝手に憤慨した
怒りは彼に直接ぶつけたわけではなく
心を閉ざし凍りついた
そしてそれは
彼を追い詰める事となった・・・
彼の『仕事に行けない辛さ』も考えずに
私は自分がそれ以上傷つかない事だけに必死だった
「千夜?カッツに仕事出てないこと言ってなかったの?」
「ああ・・・話してないよ・・・だって働こうがどうしようが本人次第じゃない?」
「カッツ・・・千夜が何もかも知ってるの俺から聞いてすごく焦ってたよ・・・」
「そうなんだ・・・ありがとう」
ユウタは私から叱られたであろうカッツを
からかうつもりだったらしいが
カッツは動揺していたらしかった
私はとことん可愛気の無い女だった
だからそんなカッツにも知らん振りだった
そんな意地が
彼を救ってはあげられなかった
・・・つづく