カッツは日付が変わる瞬間に私と一緒に居たかったらしい


「なんで前の日に用事入れちゃうの?前日からゲレンデのホテル泊まりたかったよ」


その言葉でガチャンと激しく電話は切られた






凍てつく朝の道のり


カッツの家まではアイスバーンの中30分位


途中寄り道しなければならなかったのでもう少しかかる


朝早く起きてゲレンデの準備と


料亭で着る服とメイク道具を車に積んで出発






ケーキ 「いらっしゃいませ」


開店と同時に入ったのは洋菓子店


「バースデイケーキを予約してました・・・」


朝9時に引き取れる様に前々から頼んであったケーキを受け取る


甘いものが苦手な私


ケーキの良し悪しもあまり判らない


なのに朝一番ケーキを受け取ってる自分は非常に滑稽に思えた


こんな事の為に昨夜電話をガチャンと切られた


だけどケーキは前日に受け取るわけにもいかず


そしてケーキを食べてもらえるかどうかも判らなかった


カッツが甘い物を食べている姿を見たことが無い


『迎えに行ったらまだ怒ってるのかなぁ・・・』


ご機嫌斜めだったらどうしようかと思案しながら車へと戻る


トランクの奥の方へ見えないようにケーキを隠し


カッツの家へと車を走らせる





『今日は怒ったり喧嘩したりしない様に・・・』


にっこり顔で迎えに行こうとずっとイメージトレーニング


・・・カッツの誕生日は多分私にとっても特別な誕生日だった・・・多分


私の小さな頃の誕生日はあまり良い記憶が無い


ケーキを食べたこともあったしプレゼントを貰った事もあったけれど


そこに愛情があった記憶が無い


大人になってからの誕生日は・・・


コウジ は素知らぬ振りで祝ってはくれなかったし


その後の誕生日も仕事をしていた


自分の誕生日の為に休みを取るわけも無く


夜勤であれば誰かと祝うことも無い


むしろ仕事であることに感謝していた


期待して落胆する心配が無くてホッとしていた





私は自分が欲しかった誕生日を


カッツに再現したのかもしれない


この事を思い出すときに何となくだけど


いつもそう思う





ぼんやり考えながらもカッツの家に到着


「おはよう」


部屋に入ると起きたばかりのカッツは一生懸命仕度をしていた


「おはよう」


ニコやかなカッツは冗談交じりで準備ができていない事の言い訳を始める


カッツの機嫌は直っているようだった


「夜はちょっと気取った所でお食事だからその準備もね?」


「何処で着替えるの?一度帰ってこないの?」


「お・ん・せ・ん・寄るよ♪超過密スケジュールだから帰宅する暇無し!」


カッツは子供の様に喜びを隠せない顔をしていた






間もなく私達は真っ白な雪山へ車を走らせた







・・・つづく






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