雰囲気設定 「もしもし・・・わかりますか?千夜さんオレです」


短い自己紹介ではこの声の持ち主が誰なのかを判断できなかった


その位最初から気にもとめなかったし


思い出すほどの関わりも無かった


「・・・どなたでしょう?」




実家の電話にかかってきた1本の電話


母親に取り次がれたこの電話で


不明な人間からかかってきているという情報を家族に漏らすのは


結構気まずい事態であった


実家と言っても名ばかりで


私は実家に家賃5万円を支払っており


家族である彼らとは金銭的繋がりしかなかった


『今まで育ててきたのだから』


『今まで育てていただいたので』


そんな契約で6畳一間に5万円を支払っていたのである




当時は携帯電話など普及していなくて


ポケベルとかカーテレフォンとか


そんな時だったと思う


思うっていうのは


私は非常に貧乏だったし


『連絡』に束縛されるのが嫌いで


それらを所持する気もなかった


予定が入った順に消化して


予定が入ってる日は彼であろうとも断る毎日


多くの人が経験している時期だと思うが


彼や彼女よりも友人との繋がりを大切にしたい時期


まさに真っ只中で


友人とツルンデいる自分も彼に断っている自分も好きだった





「あの・・・この前はごめんね・・・この前○○で偶然会った・・・わかります?」


彼が店の名前を告げたところでやっと思い出す


「こんばんは 気にしないでください 今日はどんな用件で?」


実家に電話してきたという時点で


彼が卒業アルバムを見て電話してきているのだと大体理解した


だが何故アルバムを見ることができたのか?


というのも彼は卒業していないからだった


転校したため私の通っていた高校では卒業していないのだ


「会って話をしたいんだけど お茶でも飲みませんか?」


20時も過ぎた時間に


飲ンダクレの私が『お茶』に誘われるなんて思っても見なかったが


私は彼に会うべきと判断した


そして指定された喫茶店へと向かった


もう2度と電話をしてこない様にと告げるために




・・・・つづく