私と友人は特に何か話すわけでもなく
お互い本を眺めていた
気の知れた彼女とは語り合って夜が明けることも多々あったが
何も話さずただお酒を楽しむこともしばしばあった
そして週末よりも
平日の空いた酒場に足を運ぶのが好きであった
「彼女達何してんの?」
「・・・・・・」
私は一瞬だけ雑誌から目を離し
ハイテンションに聞いてくる彼らを見てまた雑誌に目を落とす
何故他に客も居ないようなガランとした店で
彼らは何をしているのかと聞くのか?全く呆れる
どんなとっかかりで声をかけられようが
私の態度に大差は無いのだが
あまりに酷かった
「本なんか読んじゃってつまんなくないの~?一緒に飲んじゃえば楽しいと思うよ?」
サイテー・・・このノリも嫌い
返事するのも面倒
「とっても楽しい所なの 悪いけど外して・・・」
友人は断るが
その言葉も全て聞かないうちに・・・いや・・・聞かない様に
彼ら2人の男は座りだす
彼らは古くからの先輩後輩の仲らしく
声をかけてきた後輩は先輩にえらくペコペコしていて
先輩の方は何がそんなに偉いのか威張っていた
場を盛り上げようとして必死にナンパした後輩だが
無残にも滑ってしまったのだ
このセンスの欠片も無い2人をどうしたものかと
友人と顔を見合わせ目で相談するうちに
男はまた低レベルな言葉を投げかけてきた
「彼女会ったことあるよね?多分会ってるよ」
『あ~ウザイ』
内心そう思いつつ彼の顔を改めて見る
・・・・・
あれ・・・どこかで・・・会ってる・・・確かに会ってるナ
「・・・あなたに会ってるのはこの1~2年じゃないね
確かに見覚えはあるけど思い出せないもの」
「ぇ?」
低レベルなナンパネタと思ってる友人は私がまともに返答してることに驚く
「高校だ・・・同学年だ・・・」
私は彼をまだ思い出せないでいたが
彼は思い出した様だった
このヤリトリを聞き先輩という人はニヤリと笑っていた
「ちょっと何なのよアノ男!」
そんな会話をしていると
トイレに立っていた友人が憤慨して帰ってきた
そのBarのトイレは店の外にあるビル共同のトイレだったのだが
先輩がトイレに追ってきて
一緒に帰ろうと強引に手を引っ張り連れて帰ろうとしたというのである
大きな声を出していたら他の店の客が運良く通りがかり助かったのだと
「酔っ払って調子に乗りすぎてんじゃないの?いい加減帰るわ」
帰るのにはまだちょっと早い時間ではあったが
興奮してすっかり酔いの醒めている彼女と店を後にした
photo by Udon
でもいくら考えても顔に見覚えがあるだけで
それ以外は思い出せない
そして数日の間友人は恐い思いをしたと憤慨していて
私も彼らのことを思い出したが
彼女の興奮と怒りが薄れるにつれて
私の記憶からも彼らは薄れていった
「もしもし・・・わかりますか?千夜さんオレです」
彼・・・カッツから電話がかかってくるまでは
忘れていた
・・・つづく
- アメリカ 12年熟成のハイグレードなバーボン ブラックバーン12年 3本
- ¥10,080
- サンテク株式会社
- 【復刻 バーボン】 ミスター バーボン 750ml
- ¥1,850
- お酒の大型専門店 河内屋

