「勝ち ごちそうさま」
小さな街の繁華街で
私はちょっとだけ有名だった
潰れない女だったから
挑戦者と飲み競い勝てばツレの分も払ってもらえる
私が負けても自分の分を払うだけ
いつの間にかできていた暗黙のルール
飲みに行くと大抵噂を聞きつけた誰かが待ち構えていて私はタダ酒が飲めた
奨学金とバイトで生活しながら学費を払っていた私には
電車代しかなかった
私にはお酒を「酔いたくて飲む」という感覚が理解できなかった
バーボン3本 日本酒2升半 ワイン5本
ラム テキーラ ジン・・・何でもほぼストレートでボトル単位で流し込む
明らかに美味しくて飲んでいたが
それよりも
えらそうに挑む男達の鼻をへし折るのが楽しくて仕方なかった
決して潰れなかったが
一人になった途端寝崩れていた
誰かが負かして私を止めてくれるのを
どこかで待っていた
だけれど絶対負けないと頑張っていた
誰かを憎み自分を嫌っていた
それを全て飲み比べる相手にぶつけていた
潰れた奴を見下げ自分をアルコールで痛めつけていた
だがそれを決して誰にも言わなかった
タクシー代をケチり酒の弱い男と寝るなんてどうしてもできず
始発を待ったりツレの部屋に転がり込んだり
だけれどいつしか各店の高級車で送ってもらえるようになっていた
今思うと結構すごいこと・・・だったね・・・
- オールド・フォレスター・ボンデッド バーボン
- ¥3,623
- くろいわ
