彼女は正職員ではなかった為産休と共に退職となった
スラリと痩せた美しい容姿のまま
お腹だけがポッコリと突き出ていて
愛しそうにそれを撫でている
顔を出した彼女の周りに同僚達が集まり輪をつくる
私は仕事が手を離せなくて輪の外で仕事をしながら満面の笑み
私の中で多分「一番良い顔」を少し遠くから向けてエールを贈る
満面の
作り笑い
人の幸せを自分の悲しい思い出にリンクしてしまう
自分には無い
自分には無い
私には
無い・・・
胸は痛く
足早にそこから遠のく
背を向けた私の顔はたちまち歪んでいくのが
鏡を見なくてもわかる
私の僻みはそればかりではない
結婚式もそうだ
ウエディングドレスは
喪主として立った葬儀にリンクしてしまう
「おめでとう」と素直に言えない
そればかりか亡くなって数年は
結婚式に参列することさえ苦痛で
少し気分が悪くなるほどであった
そんな自分にうんざり・・・
人の幸せを素直に喜ぶ事ができないなんて
なんて嫌な人間なんだろう
強く望めば何でも手に入ると思っていた
だから私も欲張らなければ
欲しい願いはかなうと思っていた
それは普通みんな当たり前に持っているものだと思い
神様にお願いもしてみた
「他に何にもいらないから家族を下さい」
そうして物欲も仕事も捨てた
穏やかだけど変わらなく溢れる愛情と繰り返す毎日
それは私にとって絶対欲しいもの
でも神様なんて居なかった
そしてこの世に「絶対」なんて存在しない
