前回のお話 の続き




私はぽつりぽつりと

自分の話を始めた

自分が何故孤独かということを



私には両親が存在しないという内容を

これまで書いてきましたが

実際は存在しています

帰れる家が無いのでそう説明してきました


「親が子供を心配しないなんてことあるの?」


テーブルの向こうで彼女は怪訝な顔

今まで話した人が何度となくしてきた

見慣れた顔でした


小さな頃から

「うっとおしいからふっつかないで」

「あっちに行ってて」と

寂しい思いばかりしてきたこと


母の笑いかけてくれた記憶が無いこと

撫でてもらった記憶が無いこと


夫と死別し

妊娠してた子供も死産した時に

「あの人が死んだんだから 子供居ても大変だしよかったね駄目になって」

と言いながら

病室に小さな白い箱をブラブラ提げながら持ってきて

死亡診断書を見せながら男の子だったよ~と言ったこと


その一週間後に

弟夫婦の子供が産まれて

「出産のお祝いみんなでするんだけど あんたくると縁起悪いから来ないよね?

お祝い金立て替えとくけど いくらつつんどく?」

と母から電話がきたこと


その後再婚した男に騙されてて

どうにもならなくなって別居した時

実家に戻ると

「窓に近づかないでご近所に恥かしいから」

「今日親戚がうちにくるから あんた居たら困るのよ 出てって」

と追い出されたこと

「まさかこの土地に戻ってこようなんて思ってないよね?

小さな町なんだからまた出戻った噂なんてすぐに流れるんだよ

どっか他の土地で暮らしなさいね その方が千夜だってやりやすいでしょ?」

「千夜は結婚なんてやめて一生一人の方がいいんだよ

そのほうが自由に暮らせて幸せだよ 人に迷惑もかかんないし

恥かしい思いしなくていいでしょ」と

笑いながら言ったこと


そんなことを彼女にボソボソと話し続けました


・・・・・・・・母さん

あなたにとって恥かしい

どうでもいい子供なのかもしれないけど

私は不幸になろうと思って

結婚したり

生活したり

してないんだよ

私はアナタに可愛がられなかった分

誰かを愛し可愛がり

ソンナ普通の家庭が欲しかったんだ・・・誰よりも・・・・・・・・・



「ソレ親じゃないよ 親だなんて呼ばなくていい そんな人

きっと千夜は橋の下から拾われた子だよ

ホントは親じゃないんだ 忘れてしまいな そんな人」


話す間そんな事を思いながらボーっとしていたら

彼女の声で我に戻った

彼女の反応に少し驚いた

今まで話しても

「そうなんだ可愛そうに」とか「本当は心配してるんじゃない?」とか

そんなコメントばかりで

私も長く話すことはなく

簡単に親とあまり行き来してないんだと話していた


親とそんなエピソードがあって

辛い思い出ばかりしか残ってない事を

全て認めてくれるコメントをくれたのは

彼女が初めてだった


私の目は潤み泣きそうになっていた

捨ててもいいんだね

親を

よかったんだ


今まで誰もそう言ってくれなくて

重たかったのが

すーっと軽くなった

親と仲良くできない私を彼女は丸ごと認めてくれた



同じ話を先日別れた彼にも

付き合う時に話していたけど

私の感じ方やとらえ方が普通の人とちょっと違うと

親はそこまで私を嫌ってはいないのではと

度々話していた

確かに私は「人が見る私」について過剰に反応するのかもしれない

そう指摘してくれるのは実際彼だけだった

親は大切なものなのだから歩み寄りなさいと

言ってくれていたのであろう


私ももちろん

親が私を嫌うのも ひどいことを言うのも

私が小さな頃からあまりにも駄目で嫌な子供であったからなのではないかと

ずっと悩んできていた

ずっと苦しんできた

愛されたかった

仲良くしようとずっと歩み寄ってきていた

でも親の愛を見つける事はできずに 傷つくだけだった



それを彼女は笑って認めてくれた