よべの月 十二日 | かのんくら=縁側=

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俳句を詠みます。
俳句の種まきもしています。
この頃は介護日記めいています。

◎過去の日記
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よべの月 十二日

9月26日(旧暦:八月十二日)


以前詠んだ句を書き置く。

 新月やたましひきつと水のいろ  佳音(2008年) 

 

 

ふっくらという言葉が似合う月を見ながら、
この夏に逝ってしまった友人のことを思う。

8月17日の夜、電話が鳴った。
知らない番号なので取らずにいると、
友人の名のSNSでメッセージが届き、
わたしの旧姓で話しかけてきた。

「姉が亡くなりました」

と。
中学生の頃、同じクラブということと本が好き
漫画が好きということでつながったわたしたちは
通学はほぼ一緒、電車に乗ってくる彼女に
合わせて他の人より少し早く着く朝の学校で
毎日毎日お喋りをした。(その頃連載の始まった
魔夜峰央作品に大騒ぎしたり)
その後もなんだかんだとつながっていて、
同人誌即売会(そうさく畑だったかな?)に
参加して彼女らが書いたものを売るお手伝いをしたり、
そういえば彼女のお母さまの詩集をいただいたことも。
その頃の友人の中で一番近いところにいた彼女、
成人後はそれぞれの暮らしもあり、SNSでつながっている
気安さから『そのうち会いましょう』(と言い合って実際
会ったのは数回、会えば時間が戻るのだけど)のまま
今を迎えてしまった。
いつだったか病気をわたしに告げないのかという妹の問いに
彼女は「告げなくていい」といったらしい。

お葬儀は参列させてもらうつもりだったが、その連絡の後に
発熱、コロナを発症したので、最後に一目というのも叶わず。
もしかしたら「来るな」ということだったのかもしれない。
わたしの中にいる彼女は今日の月のようにふっくらと
笑っている。

8月17日はよしこちゃんの命日でもある。
その朝、階下の扉が開く音を立てたので(実際は開いていない)、
「ああ、よしこちゃんかな?」と思ったが、あとから彼女の妹に
亡くなった時刻を問えばまさにそのときだった。
さらっと挨拶しに来てくれていたんだね、

水のいろ風の重さになって。

 盈月や惠子も望都もゐる書棚 佳音

 


 

 

さようなら、プク。


またあした。