<前編からの続き>

 

 

そして(C)の母親は、

当時まだ産まれていませんでした。

 

しかし、すべての子供は産まれた時から、

場合によっては、

お母さんのお腹の中にいた時から、

親の心の中の感情や恐怖、

苦しみや悲しみを感じ取っており、

自分のせいで、

親がそうなっていると勘違いします。

そして、

無意識のうちに、

親の重荷を減らすために、

記憶や感情を引き受けてしまいます。

 

(C)の母親は、

その親(Cの祖父母)の心に焼き付けられた、

空襲時の記憶や、心の傷を、

無意識に背負い込んでいたのでしょう。

 

Cもまた、母の心にしまわれている、

漠然とした恐れや不安や、

悪いことが起きる予感を、

自分が引き受けることで、

母を助けることができると、

物心つくかつかないかくらいの幼い心で、

きっと決めていたのでしょう。

 

Cはつまり、

そもそも自分のものではない、

そして母のものですらない、

母の記憶にない、

遠い彼方の誰かの心の傷を背負い込み、

自分の言動が、

自分の思う通りにならない苦悩を抱え、

自分を責め続けていたのです。

 

東京大空襲・戦災資料センター      

江東区にあります。               

 

AとBはそれぞれ、

知らぬ間に背負い込んでいた、

親自身が体感した恐怖や、

絶望をどう手放したらいいか、

という点が問題でしたが、

Cについてはもう一段階複雑でした。

 

AとBの悩みは、

傍からも見て分かるものでしたが、

Cの悩みは分かりづらいものでした。

 

近づき難い、

距離が遠く感じるといった、

その人がそういう性格なのだろう、

と思わせる雰囲気がありました。

 

関わろうとする人との間に、

幾重にも、

薄いベールがかかっているようでした。

 

人に囲まれている時のCの反応の薄さ、

感情表現の乏しさ、

C自身の自分の気持ちがよく分からない、

その分からなさが、

母親が直接体験していない、

Cの祖父母の空襲や敗戦のトラウマを、

母親が無意識に背負ってしまっていたこと、

そしてCもまた、

その母親の重荷を減らしてあげたいと、

無意識に、

自分が誰の何を背負っているのか、

知ることもできず、

理解しないまま、

引き受けてしまっていたことと、

まさか繋がっているとは、

誰も想像することはできませんでした。

 

これも二重の転移と呼べるでしょう。

そもそもの原因から1世代分遠いのです。

 

自分が抱え込んでいたものと向き合い、

それを自分の体の外に出し、

陽の光を当て、

母を通して祖父母にお返しするという、

やはり一手間多い儀式が必要でした。

 

そうやってCは、初めて、

自分の感情、自分の感覚、

自分の情緒の居場所を知ることになりました。

 

 

もし、

A、B、Cのそれぞれが、

まだ何か、自分を縛るものが残っているように、

感じることがあるなら、

夜、寝る前にでも、

背負っていたものを、

親にお返しするという小さな儀式を、

もう何にも縛られていないと、

感じることができるようになるまで、

毎日、毎晩繰り返すことができます。

 

魂が理解し、

身体に浸透するまでには、

時間がかかることがあるのです。

 

今回、

同じ現象が原因だったとしても、

その現象を、

誰が何歳で体験したかを、

精密に把握することで、

誰がどのように、

そのトラウマを背負い込んでしまったのか、

それが1世代間なのか、

2世代間で起きているのかで、

影響の違いがあることを、

目の当たりにすることとなったのです。

 

反応の仕方、

表現されない苦しみの違いを、

明確に理解することができた、

私に取っては非常に重要、

コンステレーションとなりました。

このような発見は、

そう度々起きることではありません。

 

これも長期に渡って、

トレーニング生の一人一人の変化に、

注意を払い続ける機会を持てたおかげで、

辿り着くことができたのではないか、

と思うのです。

 

トレーニングに申し込んでくれてありがとう。

向き合うのが辛いことに何度直面しても、

諦めずに、

逃げ出さずに、

歯を食いしばってでも、

やめないでくれてありがとう。

きっちりと向き合って、

ちゃんと手放してもらうために、

私はかなり厳しい言葉を投げかけて、

逃げ道を封鎖して、

感情的にはめちゃめちゃ追い詰めたよね。

 

 

無邪気な笑顔を見せてくれるようになって、

私が救われたような気持ちです。

 

1964年の東京オリンピックが、

現在の私たちに、

どのような影響を与えているかについては、

これはコンステレーションの場で、

体験しない限り、説明しても、

理解してもらえるものではないし、

ここでは書き切れません。

 

ただ、それは、

私たちの中で固定されていた概念を、

覆すに十分なインパクトのあるものでした、

とだけお伝えしておきます。

 

 

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<お知らせ>

 

短期集中トレーニングの参加費が今回限り半額です
 

ファミリー・コンステレーションに興味はあるものの、トレーニングとなるとちょっと敷居が高いと思われている方に朗報です。
来週末の三日間に一回だけ参加して体験してみることができます。

 

しかも、チェトナが何を思ったか、通常の短期集中トレーニングの半額の参加費です。この金額でトレーニングを開催することは今後二度とありません。

ホームページの申し込みフォームは、4月15日午前10時まで開いています。

10時ちょうどにフォームは閉じるので、それまでにお申し込みを済ませてください。

もしかしたら、人生が変わる体験となるかも知れません。
 

 

そして、じっくり、自分の中に根付いている世界観を根底から見直し、使えるものは残し、役に立たないものは手放しリフレッシュしようと思うなら、1年間のトレーニングをお勧めします。

生きていく上で起こる様々な悩みや問題に、瞬間瞬間に対応する方法を身につけ、無理せず自分らしく対処できる力と強さを取り戻すためのトレーニングです。
生きるのは辛いものではなくなります。

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トレーニングに入るよりも、ワークショップに参加してみたいという方にはこちら。

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