私たちの誰もが一切疑うことなく、

良いもの、気分を上げてくれるものとして、

認識している世界的なイベントについて、

固定概念を身体感覚で精査し直す必要がある、

そう、ある時のトレーニングで、

浮上したのです。

 

その検証方法のイメージが、

私の脳内に湧き上がりました。

 

親が東京出身だという人に、

手を挙げてもらいました。

 

三名が挙手し、

その三名を同時に、

一つのコンステレーションの、

クライアントとして、

進行させようというものです。

 

その三名に共通するのは、

親の片方が東京で、

乳幼児期から育っているという点です。

 

後から振り返ると、

もう一つの共通点として、

その三名それぞれが、

自分を表現することに関して何らかの、

問題を抱えていたことに気づきました。

 

現場での、

そのコンステレーションというか、

そのエクササイズというかの目的は、

東京大空襲、敗戦、

そして、

戦後20年経たないうちに開催された、

東京オリンピックが、

2024年の現在の自分達に、

どれくらい影響を与えているかを、

見てみる、

感じ取ってみるというものでした。

 

 

 

一つのコンステレーションに、

クライアントが3人というのは、

今まで一度も試したことのないやり方です。

 

手を挙げた3人に、

親が空襲時に居住していたのが、

東京のどの辺りだったか、

何歳くらいだったかを尋ねました。

 

一人(A)の親は当時十二歳、

もう一人(B)の親は赤ん坊で、

別の一人(C)の親は、

空襲から十数年後に誕生した、

身体感覚の中に敗戦も、

火災も感じ取ったことのない戦後世代です。

 

(A)の父親は降り注ぐ焼夷弾と、

巻き起こる火災、逃げ惑う人々、

その後の焼け野原と、

廃墟の中での敗戦の知らせと、

戦争に負けたと知った祖父母の絶望を、

間近に見聞きし、

自分で体験し、

体感しています。

 

恐らく、その時、その少年は、

何が起きているのかも分からず、

火に包まれる人や家屋を目に焼き付け、

逃げるにも自分で判断してはいけない、

子供が勝手に逃げることはできないといった、

身体がフリーズし、

目を開けたまま金縛りにあったような感覚に、

陥っていたのではないかという映像が、

私の中に浮かびました。

 

Aは無意識に父親の、

その感覚を背負っていたのではないか?

 

(A)は父親に頭を下げ、

父親の心的外傷も、

恐怖の記憶も、

自分は勝手に、

無意識に背負い込んでいたことを認め、

本来の持ち主である父に向かって、

すべてお返しすることができました。

 

長い間、

何が自分を縛っていたのかが分からず、

分からないから手放すことができなかった、

見えない壁の外に、

一歩、抜け出ることができた瞬間でした。

 

 

 

 

(B)の母親は当時赤ん坊でした。

赤ん坊は全身が開いた感受性の塊です。

周りに起きていることを直撃で感じます。

 

自分を抱きかかえ、

守りながら逃げ惑う、

自分の親の恐怖と、

絶望感が全身を包み、

自分では一切為す術なく、

絶対的な無力感を感じていたのです。

 

赤ん坊は何が起きているのかは、

言葉に置き換えて理解することはできません。

ただただ、とてつもなく恐ろしいことが、

自分を取り巻いているのを感じるだけです。

 

Bもまた、無意識に母親の、

その感覚を背負っていたのではないか?

 

(B)の母親が乳児期に感じた恐怖と、

圧倒的な無力感、

赤ん坊だった母親が感じ取った、

空襲、そしてすぐ後に訪れた敗戦の瞬間の、

祖父母が感じた絶望感は、

Bの母親の、

アイデンティティの一部となっていました。

 

Bもまた、

母親が感じた無力感と絶望感を、

自分のアイデンティティーの一部だと、

錯覚していました。

 

こちらも母親に向かって頭を下げ、

無意識のうちに、

母の身体感覚の中の記憶を、

自分が勝手に背負っていたと認め、

自分が何をどれほど背負っても、
母親の全身の細胞が覚えている体感覚と、
記憶を消すことはできないと、
自分の無力さを、
意識的に認めることとなりました。
 
それら重荷だったものが手放され、
本来の持ち主のところにお返しされ、
戻されると、
それは重荷から、
生き抜いてきた証へと変容し、
自尊心という力に生まれ変わります。
 
そこでBは産まれて初めて、
母親のものではない、
自分自身の弱さ、
無力感と向き合うことになり、
現実の世界で、
歩み始めることが可能となったのです。
 
 

-後編に続く-


<お知らせ>

 

短期集中トレーニングの参加費が今回限り半額です
 

ファミリー・コンステレーションに興味はあるものの、トレーニングとなるとちょっと敷居が高いと思われている方に朗報です。
来週末の三日間1回だけ参加して体験してみることができます。

 

しかも、チェトナが何を思ったか、通常の短期集中トレーニングの半額の参加費です。この金額でトレーニングを開催することは今後2度とありません。

ホームページの申し込みフォームは、4月15日午前10時まで開いています。

10時ちょうどにフォームは閉じるので、それまでにお申し込みを済ませてください。

もしかしたら、人生が変わる体験となるかも知れません。
 

 

そして、じっくり、自分の中に根付いている世界観を根底から見直し、使えるものは残し、役に立たないものは手放しリフレッシュしようと思うなら、1年間のトレーニングをお勧めします。
生きるのは辛いものではなくなります。

7月に開講する「基盤のトレーニング-2024」はこちらです。

 


トレーニングに入るよりも、ワークショップに参加してみたいという方にはこちら。

6月の東京ワークショップで、まずは心の痛みを減らし、よく眠れるようになりましょう。