奥様と僕はよく一緒にコンビニに行く。
お菓子コーナーでもなく飲み物コーナーでもなく、
奥様が真っ先に向かうのは18禁雑誌コーナーだ
ずらりと並ぶHな漫画雑誌を見て
「やっぱり快×天の表紙はいいわ~!」
とか
「うっわ、×××(よく知らないけど有名な作家らしい)
描いてるよ!どうやって連れて来たんやろ」
とかブツブツ言う。
付き合っていた当初は
「恥ずかしいからやめなさい!」と注意していた。
最近では
(これも職業病っていうのかなー)と静観している
いつもはそんな感じなんだけど
今日に限って彼女は健全雑誌のコーナーに立ち止まって
ボーっとしている。
よくみると目線の先のあるのはいわゆるママ雑誌。
「なに?ほしいの?」
「んー、あのねー」
考え込みながら、奥様が語ったお話
「今日打ち合わせのあと、電車乗ったんだよ。
角に座れてラッキーと思ってたら
赤ちゃんを前に抱っこしたお母さんが乗ってきたのね。
『変わりましょうか?』って言ったんだけど
すごい笑顔で『大丈夫ですよー。ありがとうございます』
って断られたのー。
でね、すごいの。その後、私も彼女も30分ぐらい
電車乗ってたんだけど、その間ずっとずーっと
体を左右に揺らして赤ちゃんの背中を優しく叩いてるの!!
ずっと立ってて、重いし、足もつらいだろうに
ずっと笑顔でぽん、ぽん、ぽん、って。
横でその音聞いてたらなんか泣けてきて~。
母親って偉大だなって思ったの。
私のお母さんやひなみつ君のお母さんも、あんなんだったのかな?
私もいつかそうなれるのかな?
でもまだまだなれそうもないなぁ、
こういう雑誌よんで研究しなきゃいけないかなぁ……
ってな事を思ってました」
目がどんどん潤んでくる。
奥様はよく思い出し泣きする人なのです
僕は正直、結婚した今でも
『子供』ってピンとこない。
まだまだ二人で遊んでいたいって思ってしまう。
「うーん…まあ、まだその【時期】じゃないってことなのかなあ」
「うーん。そうだよね。自然に任せよっか!」
そういって笑った奥様が手に取った雑誌は
たまひよ系ではなくてエロ系でした。
とりあえずは今は仕事に生きる、っていう事なのかな。