田遊び(たあそび)
田遊び(たあそび)は、模擬的な稲作所作を行う日本の民俗芸能。
田遊びは、稲作の作業次第を模擬的に演じてその年の豊作を祈願する予祝(よしゅく)行事で、新春に行われる場合が多い。田遊びという呼称は主に東海地方などで使用され、御田(おた、みた、おみた、おんた、おんだ、おでん)・御田植祭(おたうえさい、おたうえまつり)・春鍬(はるくわ)・春田打ちなどとも称する。地方によって違いはあるが、中心は種まきから刈取りまでを演じる。 新井恒易(あらい つねやす)によれば、全国で300余りの伝承があるという。
多くの田遊びでウシ(もしくはウマ)による耕作の場があり、見せ場となっている。人間がホロを被ってウシに扮し犂(すき)などを牽いて田起こしや代かきを象ってみせる。牛の人形などの代替物で表現する場合もある。中にはウシが暴れる展開となるものや、ウシを褒めて労う演出のものなど様々である。折口信夫は『田遊び祭りの概念』の中で、田遊びの牛は本来は田の神への犠(ぎ。生け贄)であり、それでもって田の豊穣を祈願したのではなかったか、と述べている。