神社 日本列島以外の地域にある神社

 


日本列島以外の地域には2008年の時点で少なくとも 26 の神社が存在する。太平洋戦争前には多数の神社が存在したが、戦後は激減した。かつて日本であった旧外地には国の政策によって内地と同様に多数の神社が造営された。また日本の占領地や満州国などにも造営、あるいは造営の準備が行われた。しかし、太平洋戦争後は全て廃絶となり、現在でもごく一部が再建されたにとどまっている。かつて日本では無かった地域の場合、移民政策により日系移民が多数在住した土地では、現地に住む移民のために多数の神社が創建された。他にも、神道の布教のために創建された神社もあった。しかし、連合国側の神社は太平洋戦争中に資産が没収され、太平洋戦争後も復興できなかった神社が多数存在した。その後、日本文化が国外に浸透したことで、近年になって新たに建立された神社もある。



旧外地においては、台湾では鹿野神社龍田崑慈堂内)、林田神社玉里社(たまざとしゃ)など、いくつかの神社が近年、歴史的な遺物としての価値や観光資源としての価値を認められ復興された。また、台中神社(たいちゅうじんじゃ)の鳥居を復活させようという動きもある。だが、これらはあくまでも文化遺産としての復興であり、信仰対象としての再建ではない。しかしながら、2015年には初めて、正式な神職が奉祀する宗教施設として、かつての村の神であった高士祠が高士神社(クスクスじんじゃ)として再建された。また、旧南洋群島においては、パラオでは南洋神社(なんようじんじゃ)ペリリュー神社が、アメリカ合衆国北マリアナ諸島サイパン島では彩帆香取神社(サイパンかとりじんじゃ)彩帆八幡神社(サイパンはちまんじんじゃ)が近年になって再建された。



日系移民が多く住む土地では、特にアメリカ合衆国ハワイ州には多数の神社が作られ、オアフ島ハワイ出雲大社ハワイ大神宮ハワイ石鎚神社ハワイ金刀比羅神社若宮稲荷神社ハワイ島にはヒロ大神宮マウイ島にはマウイ神社などが現存する。これらには、戦後復興できなかったり、存続が困難になった神社が多数合祀されている。また、ブラジルでは当初、東京植民地神社ボーグレ神社などが存在したが、基本的には日本人小学校兼集会場の御真影が御神体の機能を果たしたため、神社はあまり作られなかった。これらの神社は植民地の消滅とともになくなってしまったが、その後、神乃家厳戸神社(かみのやいわとじんじゃ)ブラジル大神宮南米神宮ブラジル熊野神社ブラジル石鎚神社(スザノ石鎚神社遙拝所)、太平山三吉神社パウリスタ神社パラナ州開拓神社伯国開拓大神宮(ブラジル大神宮)など、神職が奉祀する神社が創建されている。近年では南米大神宮など、神社ではなく鳥居だけが日系移民街を象徴する建造物として建てられるケースも増えている。



神道の布教のために創建された神社としては、アメリカ合衆国本土には戦前に北米大神宮本院米国神道協会明治神宮会羅府稲荷神社(らふいなりじんじゃ)出雲大社教北米協会が存在したが、戦後は復興しなかった。その後、1987年になってアメリカ椿大神社(アメリカつばきおおかみやしろ)が創建し、神職の資格を得たアメリカ人が禰宜を務めている。オランダには1981年にヨーロッパ初の神社として古神道の一派である山蔭神道(やまかげしんとう)日蘭親善協会斎宮が創建され、オランダ人の宮司が奉祀している。フランスには三重県の水屋神社(みずやじんじゃ)の分祠として、真言宗寺院である光明院の境内にフランス和光神社(フランスわこうじんじゃ)がフランス初の神社として2006年に創建されている。こちらは通常、光明院のフランス人の住職が祭祀を務める神宮寺の形をとっている。サンマリノには、神社本庁が公認するヨーロッパ初の神社として、2014年にサンマリノ神社が創建されている。神職は地元のサンマリノ人であるホテルのオーナーで、山形県の湯殿山神社(ゆどのさんじんじゃ)で修行し、資格を取得している。

 

 


※羅府(らふ)

ロサンゼルスの異称。