賀茂別雷命(かもわけいかづちのみこと)
賀茂別雷命(かもわけいかづちのみこと)は、神道の神である。
賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ。上賀茂神社(かみがもじんじゃ))の祭神であり、各地の加茂神社(かもじんじゃ。賀茂神社・鴨神社)で祀られる。 記紀神話には登場しない。神名の「ワケ」は「分ける」の意であり、「雷を別(わ)けるほどの力を持つ神」という意味であり、「雷神」ではない。『賀茂之本地』(かものほんじ)では阿遅鉏高日子根神(あぢすきたかひこねのかみ)と同一視されている。
『山城国風土記』逸文には、賀茂別雷命について次のような記述がある。賀茂建角身命(かもたけつのみのみこと)の娘の玉依姫(たまよりびめ)が石川の瀬見の小川(鴨川。かもがわ)で遊んでいたところ、川上から丹塗矢(にぬりや)が流れてきた。
それを持ち帰って寝床の近くに置いたところ玉依日売は懐妊し、男の子が生まれた。これが賀茂別雷命である。賀茂別雷命が成人し、その祝宴の席で賀茂建角身命が「お前のお父さんにもこの酒をあげなさい」と言ったところ、賀茂別雷命は屋根を突き抜け天に昇っていったので、この子の父が神であることがわかったという。丹塗矢の正体は乙訓神社(おとくにじんじゃ)の火雷神(ほのいかづちのかみ)であったという。