高忍日賣神社 神話
当社には固有の神話がいくつか残る。初代神武天皇の父君 日子波限建鵜葺草葺不合命(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)が生まれる際の伝承である。日子穂穂手見命(ひこほほでみのみこと)と豊玉毘売命(とよたまびめのみこと)とが仲睦まじく船で海を渡る際に、妻神が急に産気づき近くの海岸で産屋を建てて、出産することになった。 そこで、鵜茅(ウガヤ)で産屋を葺いてその中で出産するが、海から多くの蟹がはい上がり産屋まで入り大変な難産になった。豊玉毘売命が「高忍日賣大神」と一心に唱えると高忍日賣大神が顕現し、天忍日女命と天忍人命と天忍男命を遣わされ、天忍人命と天忍男命には箒を作って蟹を掃き飛し、天忍日女命には産屋に入って産婆の役目をした。 これにより始めは難産だったが安産し、産屋が葺きあがらないうちに無事男児を産むことができた。日子穂穂手見命は、男児を日子波限建鵜葺草葺不合命と命名した。 この神話から、当社の祭神は産婆・乳母の祖神、また、箒の神として多くの人々から崇敬されている。