菟道稚郎子 名称 「イラツコ」について

 


「イラツコ(郎子)」は、名前に付される敬称である。史書に「郎女(いらつめ/いらつひめ)」は頻出するが(『古事記』で43名)、「郎子」が使われたのは『古事記』では莵道稚郎子含め4名のみで、一般に使われる「命(みこと)」や「王(おうみこおおきみ)」のいずれでもない特異性が指摘される。「郎子」の用法の性格には、愛称とする説と「郎女」の対とする説がある。「郎女」の多くが皇女に用いられていることから「郎子」も皇子を指したものという見方が強いが、菟道稚郎子以外の3名はいずれも「王」とも表記されており、皇位継承者に付される「命」ではなく「王」に近い用法と考えられている。



なお、「郎子」の前の「ワキ」は「若(わか)」の転訛とされる。