カグツチ 信仰
火の神、鍛冶の神として信仰されており、771年(宝亀2年)に創祀されたとされる火男火売神社(ほのおほのめじんじゃ。大分県別府市)は別府温泉の源である鶴見岳(つるみだけ)の2つの山頂を火之加具土命(ほのかぐつちのみこと)、火焼速女命(ひやきはやめのみこと)の男女二柱の神として祀り、温泉を恵む神としても信仰されている。
秋葉山本宮安秋葉神社(あきはさんほんぐうあきはじんじゃ。静岡県浜松市)を始めとする全国の秋葉神社(あきはじんじゃ、あきばじんじゃ)、愛宕神社(あたごじんじゃ)、野宮神社(ののみやじんじゃ。京都市右京区、東京都港区、大阪府堺市ほか全国)などで祀られている。また島根県安来市の意多伎神社(おだきじんじゃ)もこの神との関連の指摘がある。
産田神社(うぶたじんじゃ。三重県熊野市有馬町)で伊弉冉尊(いざなみのみこと)により出産されたとする同神社の社伝が存在する他、花窟神社(はなのいわやじんじゃ。三重県熊野市有馬町)には境内に鎮座する伊弉冉尊の御陵の対面に軻遇突智の御陵も併せて鎮座している。先の産所とされている産田神社が軻遇突智の墓所であると言う説もあり、いずれにせよ熊野に非常に縁を持つ神である。
神産み・国産みによって多くのものを出産した伊弉冉尊が、火(カグツチ)を生み出すことにより死に至るというのは比較神話学的にも興味深い(参照プロメテウスの火)。