依り代 人として・巫
巫(かんなぎ。神和ぎ)とは、霊の依る人をあらわす。特に依巫(よりまし、憑巫(よりまし)・尸童(よりまし))という。その呼称は『袖中抄』(しゅうちゅうしょう)という平安時代末期の書物に「物つきをよりまし」という語が載せられている。
尸童とも書かれるように、童児であり、巫女が主体ではあったが、男性や子供も現在でも少数ながら依巫(よりまし)になる例がある。依巫が神下ろしをしたり、オシラサマ等の依り代から神意、神託を知り一般に伝えることを職業として行ったのが、神道(神社)の神主や巫女の始まりで、卑弥呼なども祈祷師としての巫女であったと伝えられる。また陰陽師も道教や陰陽五行思想の影響は受けているが、分類上は日本の神道に属し、祈祷や依り代を作る側面を持つ。
神職だけでなく、福男(ふくおとこ)や福娘(ふくむすめ)や神事に携わる庶民(祭り弓矢の矢取りなど)や祭りの興行者(相撲の力士や太神楽(だいかぐら)の芸人あるいは、縁日の露天商など)もその源流(猿楽・くぐつなど)は「かんなぎ」であり、良い縁起を齎(もたら)すものとして、特別な力があると考えられてきた。