神籬 起こりと現在
古来、日本人は自然の山や岩、木、海などに神が宿っていると信じ、信仰の対象としてきた。そのため、古代の神道では神社を建てて社殿の中に神を祀るのではなく、祭りの時はその時々に神を招いてとり行った。その際、神を招くための巨木の周囲に玉垣をめぐらして注連縄で囲うことで神聖を保ち、古くはその場所が神籬と呼ばれた。次第に神社が建てられるようになり、祭りも社殿で行われるようになったが、古い形の神社は、建物の中に玉垣を設けて常盤木(ときわぎ)を立てて神の宿る所とし、祭るものであった。後にはこの常盤木を神籬と呼ぶようになった。
現在は、神籬は地鎮祭などで用いられる。
形式は、八脚台(はっきゃくだい)という木の台の上に枠を組み、その中央に榊(さかき)の枝を立て、紙垂(しで)と木綿(ゆう)を付けたものである。なお、神籬には、常緑樹(常磐木)が用いられてきており、榊のほか、松なども使用されている。