郡衙 各地の郡衙 ①

 


常陸国の11郡衙跡は11郡のうち2不明を除いて大体比定されている。新治郡は真壁郡協和町古郡、白壁郡は不明(真壁郡…真壁郡真壁町古城・源法寺)、筑波郡はつくば市平沢、河内郡はつくば市金田台、信田郡は不明、行方郡は行方郡玉造町内(?)、鹿島郡は鹿島市神野向、那賀郡は水戸市渡里、久慈郡は常陸太田市大里町・薬谷町、多珂郡は高萩市内(?)、茨城郡は石岡市茨城に比定されている。 このうち常陸国新治郡の郡衙である新治郡衙(にいはりぐんが)については、古くから知られており(水戸藩の学者中山信名は、『新編常陸国誌』で礎石・瓦多い所が昔の郡庁があったところであると述べている)、1946年(昭和16年)から1943年(昭和18年)に発掘調査され、古郡の台地上に51棟の建物郡が確認されている。北部に25棟、西部に9棟、東部に13棟、南部に4棟。西部に庁屋、東部に不動倉が配置されている。これら建物跡の平面形は大小が見られ、12~13メートル×9~10メートルの大きさも建物が東部で8軒、北部で7軒、南部で4軒で最も多い。北部群中には48×14メートルの東西棟がある。西部では同一のものはなく、17×17メートル(方5間)と14×14メートル(方4間)がみられる。これらの建物配置から西部群に住宅風の庁屋、厨家と推測できる建物であり、あとの3郡は2列から4列に規則正しく並び、正倉・不動倉・倉庫などと考えられている。 さらにこの郡衙跡に隣接して新治廃寺跡(氏寺=郡分寺か)、瓦窯跡、工房跡、須恵器窯跡などが確認されている。