金毘羅権現 由来
象頭山松尾寺(ぞうずさん まつおじ)の縁起によれば、大宝年間に修験道の役小角(えんの おづの。神変大菩薩(じんべんだいぼさつ))が象頭山に登った際に天竺毘比羅(ビハール)霊鷲山(りょうじゅせん。象頭山)に住する護法善神金毘羅(宮比羅(くびら)、クンビーラ)の神験に遭ったのが開山の由来との伝承から、これが象頭山金毘羅大権現になったとされる。象頭山金毘羅大権現は、不動明王を本地仏とした。
クンビーラ(マカラ)は元来、ガンジス川に棲む鰐(わに)を神格化した水神で、日本では蛇型とされる。クンビーラ(マカラ)はガンジス川を司る女神ガンガーのヴァーハナ(乗り物)でもあることから、金毘羅権現は海上交通の守り神として信仰されてきた。特に舟乗りから信仰され、一般に大きな港を見下ろす山の上で金毘羅宮、金毘羅権現社が全国各地に建てられ、金毘羅権現は祀られていた。