隠津島神社(二本松市) 社殿
本殿は二本松藩主 丹羽長貴(にわ ながよし)の命により寛政元年(1789年)に着工され、同12年(1800年)4月に竣工した大規模な三間社流造。内陣は折上格天井(おりあげごうてんじょう)を張り奥に作りつけの宮殿(くうでん)を安置する。
拝殿は同じく寛政元年の着工、同6年(1794年)5月竣工で、桁行7間梁間3間の入母屋造平入、正面屋根中央に千鳥破風を飾り、中央柱間は広くとって格子状の唐戸を建て、1間の向拝を向唐破風造(むこうからはふづくり)で付加する。木鼻(きばな)は獅子象鼻(ししぞうばな)であるが総じて和様を主体とし、内部は前面1間通りを外陣、奥2間を内陣とする。また、高欄付きの太鼓橋で本殿に接す。
本殿、拝殿とも総欅材の素木造(しらきづくり)で屋根銅板葺、要所に造営主である丹羽氏の定紋(じょうもん)を飾る。昭和51年(1976年)に東和町(とうわまち)の有形文化財に指定され、平成17年(2005年)に同町が市町村合併により二本松市に編入されてからは市の指定文化財とされている。
山麓の一の鳥居は文政元年(1818年)9月に当時の内木幡村名主紺野氏の寄進で建立されたものであるが、傍らには樹齢約400年(昭和51年当時)と言われる松が立ち、それは文政以前の一の鳥居建造に際して記念に植樹されたものと伝えられる。なお、松は地上5メートルで2枝に分かれ、鳥居を覆うように枝を広げる様から昭和51年に東和町の天然記念物に指定されたが(現市指定)、平成17年1月の大雪により南側の枝の3分の2程が折損した。