オオヤマツミ 解説

 


神名の「ツ」は「の」、「ミ」は神霊の意なので、「オオヤマツミ」は「大いなる山の神」という意味となる。別名の和多志大神(わたしのおおかみ)の「わた」はの古語で、海の紙を表す。すなわち、山、海の両方を司る神ということになる。大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)が島に存在することもあり、三島信仰では海神としての性格が強くなっている。



また、木花之開耶姫が彦火火出見尊(ひこほほでみ)を生んだことを喜んだオオヤマツミが、天甜酒(あめのたむざけ)を造り神々に供げたとの記述もあることから、酒造の神・酒解神ともされている。このほか、軍神、武神としても信仰されている。



一般に、山の神と云えば女神だが、大山祇神は古事記・日本書紀ともに男神である。ただし、日本書紀では女神と読める箇所がある。



山の神であるオオヤマツミは林業鉱山関係者に崇拝され、山から下りてきて恵みをもたらすともされることから里山農業では田の神ともされる。ユネスコ無形文化遺産に登録された石川県奥能登地方の農神事アエノコトで迎える田の神はオオヤマツミであるとされる。同じくユネスコの記憶遺産に登録された山本作兵衛(やまもと さくべえ)が描いた筑豊(ちくほう)炭鉱画の中でも、オオヤマツミに関する記述がある。三浦しをん(みうら しをん)小説神去(かむさり)なあなあ日常』(映画『WOOD JOB!』)では、林業神事オオヤマヅミとして描かれている。